2014 Fiscal Year Research-status Report
卵巣がん転移を標的とした創薬の基盤構築:セラミドの利用
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26861304
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北谷 和之 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (40539235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セラミド |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣がんは婦人科腫瘍の主要な疾患であり、播種転移・再発を防ぐことが急務である。転移において、がん細胞の運動性は重要な要素である。したがって、抗運動性を示す生体制御分子を同定することが播種転移を標的とした創薬の基盤構築となる。 26年度の研究から、卵巣がん SKOV3 細胞において、スフィンゴ脂質セラミドは仮足形成および細胞移動性を濃度依存的に抑えることが判明した。また、同様に卵巣がん TOV112D 細胞および高転移性乳がんMDA-MB231 細胞においても、セラミドの同様の効果が確認された。したがって、がん種を超えてセラミドは細胞運動性を抑える生体分子であると考えられる。 運動性はホスファチジルイノシトール―3―キナーゼにより制御されている。セラミドの作用機序を明らかにするために、ホスファチジルイノシトール―3―キナーゼ活性化へのセラミドの作用を検証した。その結果、セラミドを処理することで、ホスファチジルイノシトール―3―キナーゼの代謝産物量が低下しことから、セラミドはホスファチジルイノシトール―3―キナーゼを標的にしている可能性が考えられた。そこで、この分子メカニズムを詳細に探索したところ、セラミドはホスファチジルイノシトール―3―キナーゼと直接的に相互作用することで細胞内局在を変化させ、これによりホスファチジルイノシトール―3―キナーゼ依存的な細胞運動性を抑えると推察された。 これらの結果から、セラミドは卵巣がん細胞において運動性を抑える生体機能性分子であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り、セラミドが抗運動性分子であることを明らかにするとともに、その作用メカニズムを部分的に解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
セラミドリポソーム製剤の抗卵巣がん転移効果と臨床応用への可能性
リポソーム化セラミドの抗卵巣がん播種転移作用を検証する。細胞モデルでの作用機序解明とともに動物を用いた実験系においてトランスフェリン抱合型セラミドリポソームの:a)細胞モデルでの薬物動力学的解析、b)マウスを用いた安全性/毒性試験、c)薬物動態、d)卵巣がん播種転移モデルマウスでの抗播種転移効果を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度請求額と合わせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)