2015 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲的眼底血流測定による妊娠高血圧症候群の早期診断法の開発
Project/Area Number |
26861306
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉片 三千代 東北大学, 大学病院, 助教 (10722580)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 産科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
全妊娠の約5%に合併する妊娠高血圧症(PIH)は母児予後に大きな影響を及ぼす可能性のある原因不明の疾患であり、最近の研究において血管内皮障害に伴う微小血管の血流異常が発生する事が知られており、体外から観察可能な眼底網膜の血流評価でPIHを早期に発見出来る可能性がある。眼底網膜血流の新規評価法として、非侵襲的眼底血流測定装置レーザースペックルフローグラフィー(laser speckle flowgraphy:LSFG)が開発され、眼科領域において有用性が報告されている。我々はLSFGを用いて、妊娠女性の眼底血流を経時的に観察し、妊娠中の眼底網膜血管における生理的な変化の解析を行っている。 平成27年度までに、60名の患者が研究に参加し、そのうち6名が除外、46名が正常妊婦であり、8名の妊娠高血圧症候群の発症を認めた。現在までの正常妊婦の眼底血管の評価をLaser speckle flowgraphy-NAVI(LSFG)にて血流速度、血流量、血管抵抗などについて行った。正常妊婦では、血流流速の指標であるMBR(Mean blur rate)に大きな変化は認めなかった。また、血流量の指標であるBOS(Blowout score)は妊娠経過とともに上昇傾向を示した。血管抵抗の指標であるRI(Resistivity index), FAI(Flow acceleration index) は妊娠経過とともに低下傾向を示した。これは、妊娠経過に伴う循環血漿量の上昇に伴う生理的な末梢血管抵抗の低下を反映していると考えられる。これらのことから、LSFGは妊娠中の微細な血流変化を鋭敏にとらえる事が可能である事が明らかにされた。 今後はさらに症例数を増やし、正常妊婦のみならずPIHを発症した妊婦、PIHハイリスク妊婦に関してLSFGによる網膜血流の変化を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画より研究に同意される患者数が少なく、PIHハイリスク妊婦、PIH発症妊婦の数が少ない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに得られた正常妊婦、PIHハイリスク妊婦、PIH発症妊婦に関するLSFGによる網膜血流の変化のパターンを解析する。また、研究に参加する新たな患者を募り、症例数を増やして行く。今までの正常妊婦の解析では、LSFGによる解析で妊娠中の微細な血流変化を鋭敏に捕えることが可能である事が示唆されている。これを基にPIHハイリスク妊婦、PIH発症妊婦に関して、その発症時期、重症度に応じて、いつからどのような変化が起きているのか詳細に検討を行う。さらに、今までに報告されているsFlt1、PIGF、s-CRPなどのPIH発症マーカーとの比較検討を行い、LSFGによる妊娠中の眼底血流評価がPIHの新たな発症予測法となる可能性があるかの検討を行う。さらに、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初の計画より研究に同意される患者数が少なく、PIHハイリスク妊婦、PIH発症妊婦の数も少なかった。そのため、検査料の支出が予定よりも減った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今までに得られた正常妊婦、PIHハイリスク妊婦、PIH発症妊婦に関するLSFGによる網膜血流の変化のパターンを解析する。また、研究に参加する新たな患者を募り、症例数を増やして行く。さらに、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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