2014 Fiscal Year Research-status Report
卵巣黄体化に関与するエピジェネティクス制御機構の細胞内分子メカニズムの解明
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26861328
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
李 理華 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90610668)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 生殖内分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回は、LHサージによりヒストン修飾酵素関連遺伝子が変化するか解析を行った。ラット過排卵モデルを用い、LHサージから排卵までの短期間で、黄体化過程にある顆粒膜細胞において、様々なヒストン修飾酵素が変化するかを発現アレイを用いて明らかにした。過排卵ラットモデルを用いて、hCG投与前と、投与4、12h後の卵巣から黄体化顆粒膜細胞を回収し、各サンプルよりtotal RNAを抽出し、realtime PCR arrayを用いて0hと4h、または0hと12hの2群間でそれぞれ有意差を持って発現上昇、または発現低下を示す遺伝子を抽出した。96のDNAメチル化酵素とヒストン修飾酵素関連遺伝子の中で、11のヒストン修飾酵素遺伝子が抽出された(P<0.01)。その内、ヒストンメチル化酵素、ヒストンアセチル化酵素に絞り、動物数を増して0、4、12hの3群間でvalidationを行ったところ、PCR arrayと同じ結果を得ることができた。次に排卵時期の卵胞顆粒膜細胞で、ヒストン修飾の変化により遺伝子発現変化が調節されているStAR遺伝子とCyp19a1遺伝子のプロモーター領域において、抽出されてきたヒストン修飾酵素が実際にリクルートしてきているかをChIP assayを用いて検討した。その中で、ヒストンメチル化酵素がStARプロモーター領域に実際にリクルートされてきてる可能性が示された。 次にPMSG刺激後の卵巣から回収したラット顆粒膜細胞を用いた培養系にhCGを添加し、StAR遺伝子発現変化がVivoモデルと同じような発現変化を起こすことを確認した。また、StARプロモーター領域でどのヒストン修飾が変化するかをChIP assayを用いて確認した。Vitroモデルでも、hCG投与によりStARプロモーター領域のヒストンメチル化修飾が変化することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
顆粒膜細胞の培養モデルにおいて、ChIP assayを行うことは今回初めて確立しなければならない技術であり、詳細な条件設定が必要であったが、計画通りに進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年の結果から得られたLHサージにより発現が制御されるヒストン修飾酵素の中で、StAR、もしくはCyp19a1遺伝子プロモーター領域におけるヒストン修飾変化を起こしうるヒストン修飾酵素の候補を選び、顆粒膜細胞のvitro実験を用いてその関与を明らかにする。具体的には、ラット顆粒膜細胞を用いた培養系にhCGを添加し、候補酵素がヒストン修飾を変化させていることをChIPassayで証明する。また、修飾酵素をSiRNAでノックダウンすることでhCG刺激によるプロモーター領域のヒストン修飾変化と遺伝子発現がどのように変化するかを検討し、酵素の関与を証明する。更に、StAR、Cyp19a1遺伝子プロモーター領域のヒストン修飾を変化させる酵素が、LHサージ以下どのような細胞内シグナル伝達で調節されているのかを検討する。
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