2014 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症におけるアポトーシス受容体DR6の発現低下と病態形成への関与
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26861335
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
甲斐 健太郎 大分大学, 医学部, 助教 (90457622)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / デスレセプター6 / エピジェネティック / ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬 / アポトーシス / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症細胞が子宮外で生着、増殖する原因として、アポトーシス制御シグナルの破綻と増殖シグナルの活性化が考えられている。我々は、このシグナル伝達の異常にエピジェネティック機構におけるヒストン修飾が関与することを報告した。今回の研究は、卵巣子宮内膜間質細胞(endometriotic cyst stromal cells: ECSCs)とそのヒストン脱アセチル化酵素阻害剤処理群(valproic acid: VPA)を比較したcDNAマイクロアレイにより抽出された候補遺伝子、Death Receptor (DR)6について、子宮内膜症の病態形成への関与を検討することが目的であった。現在までに、①正常子宮内膜間質細胞(normal endometrial stromal cells: NESCs)と②ECSCsの分離・培養に成功した。 ③VPA処理によってECSCsにおけるDR6の発現は増強した(mRNAおよび蛋白)。④VPA処理によってECSCsにおけるDR6プロモーター領域ヒストンH4のアセチル化が起こった。以上③④の結果から、cDNA microarrayによる候補遺伝子スクリーニング結果を再現できた。 ⑤DR6の発現(蛋白およびmRNA)は、NESCsに比較してECSCsで減弱していた。 ⑥組織切片(正常子宮内膜および卵巣子宮内膜症組織)においても同様の結果を得た。 ⑦DR6 siRNA導入によってDR6蛋白およびmRNAの発現は減弱した。以上⑤⑥⑦の結果から、DR6の発現低下が子宮内膜症に特異的であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬を用いたcDNA microarrayによる候補遺伝子のスクリーニング結果が再現されたこと。また、DR6の発現低下がNESCsには認められず、ECSCsに特異的であることが示された。つまり、DR6の発現低下が卵巣子宮内膜症の病態形成に関与している可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
DR6 siRNAの細胞内導入:DR6遺伝子の発現抑制実験モデルを構築するために、DR6 siRNAのNESCsへの細胞内導入を行い、細胞増殖、アポトーシスへの影響を検討する。NECSsにおけるDR6ノックダウンによるDR6 mRNAおよびタンパクの発現変化の検討:NESCsにDR6 siRNAを導入し、核および細胞質蛋白を回収する。DR6 mRNAの発現変化をRT-PCR法で、DR6タンパクの発現変化をウエスタンブロット法により比較比較する。NESCsにおけるDR6ノックダウンの生細胞への影響:NESCsにDR6 siRNAを導入し、MTT assayを用いた生細胞定量化のための呈色性ELISAを行う。NESCsにおけるDR6ノックダウンの細胞増殖への影響:NESCsにDR6 siRNAを導入し、BrdUを用いた細胞増殖定量化のための呈色性ELISAを行う。NESCsにおけるDR6ノックダウンのカスパーゼ3/7活性への影響:NESCsにDR6 siRNAを導入し、Caspase 3/7 Assayを行う。NESCsにおけるDR6ノックダウンのアポトーシスへの影響:NESCsにDR6 siRNAを導入し、Cell Death Detection ELISAを行い、細胞がアポトーシスに陥った後に細胞質に出現するヒストン/DNA断片複合体を検出する。もし研究が当初計画どおりに進まない場合、あるいは進んだ場合は、cDNA microarryにて抽出した他の候補遺伝子(MT1G, IL8, PPP2R2B, ABCB1)についても検討を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Wisteria floribunda agglutinin-binding glycan expression is decreased in endometriosis2015
Author(s)
Kentaro Kai, Kaei Nasu, Tomoko Hirakawa, Yoko Aoyagi, Terukazu Ishii, Tetsuya Uemura, Mitsutake Yano, Hisashi Narahara
Organizer
Society for Reproductive Investigation 62nd Annual Scientific Meeting
Place of Presentation
Hilton San Francisco Union Square, San Francisco, CA, USA
Year and Date
2015-03-28 – 2015-03-28
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[Presentation] Death receptor 6 is epigenetically silenced by histone deacetylation in Endometriosis and Promotes the Pathogenesis of Endometriosis2014
Author(s)
Kentaro Kai, Kaei Nasu, Yoko Aoyagi, Yoshiyuki Tsukamoto, Naoki Hijiya, Mamiko Okamoto, Masatsugu Moriyama, Hisashi Narahara
Organizer
3rd Asian Conference of Endometriosis
Place of Presentation
Songeui Medical Campus, The Catholic University of Korea, Seoul, Korea
Year and Date
2014-10-24 – 2014-10-26
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