2014 Fiscal Year Research-status Report
1児SGAの2絨毛膜双胎モデルによる胎児発育不全発症機序と予後予測因子の解明
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26861339
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
城 道久 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90511577)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SGA / 2絨毛膜性双胎 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
双胎妊娠において、2人の胎児が1つの胎盤を共有する1絨毛膜双胎で2児に体重差が見られるDiscordant Twinの原因についてはその背景に双胎間輸血症候群、胎盤占有面積の差が存在することが知られている。2絨毛膜双胎では2人の胎児がそれぞれ胎盤を保有する独立した個体である。しかし同一子宮内環境でありながら、2児の胎児発育に大きな差が見られる症例が存在するが、その原因については1絨毛膜双胎と比較し、他の研究では明らかにされていない。われわれの施設で管理し出生した2絨毛膜双胎のうち、1児が-2.0SD以下の出生児体重の症例をsevere SGAと定義し、-2.0SD以上の群と比較すると統計学的に予後不良群が多いことを明らかにしてきた。児は子宮内で胎盤から血流を供給されるが、その血流が不十分であると胎児がストレスを受ける可能性がある。そこでわれわれは酸化ストレスマーカーであるd-ROMに着目した。他の研究で単胎の胎児発育不全および妊娠高血圧症候群の症例で、分娩時に採取した臍帯血中のd-ROMの測定値が高いことが知られている。しかし、同一子宮環境下にある2絨毛膜双胎におけるd-ROMの差に着目した報告は無く、d-ROMの測定値と臨床的な情報を多角的に評価を行うことで、d-ROMが胎児発育不全における予測マーカーと成り得るか、評価することが可能であると考えられる。現在われわれの施設で2絨毛膜および比較として1絨毛膜も含め症例を蓄積し、評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Discordancyを伴った2絨毛膜双胎は症例数が少ないため、症例数の蓄積には時間を要することが研究の推進がやや遅れている原因である。そのため、今後の研究の推進方策として、次項の今後の研究の推進方策で述べるように、本研究に関連した研究を同時に行い、研究内容をより深いものとしていく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
解析のためにはより多くの症例を積み重ねる必要があるが、多くの2絨毛膜双胎は大きなDiscordancyが見られないことが多く、そのために解析には時間がかかる可能性がある。2絨毛膜のみで無く、1絨毛膜双胎症例においても同様にd-ROMの測定を実施し、Discordancyとの関連性を評価していく。また別な研究で硬膜外麻酔併用分娩では絨毛間腔の血流が増加することが知られており、この点に着目し、硬膜外麻酔併用分娩と自然分娩での分娩時の臍帯血におけるd-ROMの値を評価し、臨床的なデータとリンクさせることで児への影響を明らかにすることを試みる。これは2絨毛膜双胎における1児SGAの発生要因が、絨毛間腔の血流の差によるものかどうかを推定する上で、有用な情報と成り得る。
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Causes of Carryover |
本年度はd-ROMを測定するための機器および測定を行うための試薬の購入、および臨床解析結果の発表、学会における情報収集のために予算を使用した。物品費について、機器が予定より安価で納入されたため、当初に計上した予算との間に差が生じた大きな原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
症例を蓄積し、d-ROM測定のための試薬を購入して測定を推進していく。および研究成果を国際学会で発表、情報収集を行い、解析結果を論文化するために予算を使用する予定である。
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