2015 Fiscal Year Research-status Report
婦人科悪性腫瘍患者における生殖細胞遺伝子変異のシークエンス解析
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26861342
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
飯塚 千祥 昭和大学, 医学部, 助教 (70465128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / 卵巣癌 / 腫瘍関連遺伝子の生殖細胞変異 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度までに、研究対象としている子宮体癌および卵巣癌・卵管癌・腹膜癌患者からの血液サンプルは、子宮体癌が27例、卵巣癌・腹膜癌が38例、遺伝的関与が強いと考えられる卵管癌が7例収集できています。収集した血液サンプルはDNAを抽出した状態で保存しています。 次世代シーケンサーを用いて、サンプルの塩基配列を読み取り、既知の配列へマッピングし、得られたシーケンス配列から、公共の遺伝子データベースを参照して、SNP(一塩基多型)、in del(挿入、欠失)を抽出しています。抽出されたSNPやIn Delが遺伝情報に変化を与えるのかどうかについて、既知の疾患データベースを参考に、病的変異、良性の変異、病的意義不明に分類してリストを作成します。解析データから、子宮体癌や卵巣癌を生じることがわかっている既知の遺伝子領域(子宮体癌におけるリンチ症候群や、卵巣癌における遺伝性乳癌卵巣癌症候群の原因遺伝子)以外に疾患関連遺伝子を発見すること、および、既知の遺伝子領域にいて病的意義不明とされている変異が本研究の癌発症者に検出されることで新たに病的意義を発見することを目標にしています。 これまで、子宮体癌の2例と卵巣癌1例、卵管癌1例について、次世代シーケンサー解析とその後の遺伝子多型解析(Variant解析)を行いました。このうち卵管癌の1例で遺伝性乳癌卵巣癌症候群の原因遺伝子であるBRCA2遺伝子のフレームシフトを伴う欠失が生じていることが判明しました。現在、4例までしか解析が済んでいないため症例報告をするには不十分ですが、平成28年度はさらに解析を進めて報告できる数を目指したいと思います。また、血液サンプルの収集は新規治療導入患者を中心に継続する予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は生殖細胞変異を検出することを目的としており、患者本人およびその家族の癌関連遺伝子の変異を調べる研究となる。そのため、カウンセリングを行う必要があるなどサンプル採集のための同意取得に時間がかかってしまいます。外来通院時すみやかに同意していただくことが難しく、説明のみして次回の通院時に採血をするなど2段階に分けて同意をいただくことも少なくありません。また、次世代シーケンサー解析もデータの質が確保されるよう一回のランで解析できる数に制限があり、一回のランに2日程度かかるため解析自体もやや遅延しています。現在までに69例のサンプルが確保できているため、今年度は解析を中心に研究を進めることができると考えています。遅れているサンプルの収集も継続して行う予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル収集については、既治療患者からの外来通院時の採取はほぼ終了し、新規治療開始患者から手術同意と同時に研究への同意を取得するようにしているため収集がこれまでよりもスムーズに進むことが予想されます。 次世代シーケンサー解析および塩基配列データのVariant解析については、4例実施してデータの精度や解析手法が確認できたため、一回のラン数を増やすことで解析数を増やしたいと考えています。
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