2014 Fiscal Year Research-status Report
加齢マウスにおけるCNPの卵巣発育促進とその機構に関する研究
Project/Area Number |
26861346
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 可野 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (00511073)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 生殖医学 / 卵胞発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵胞発育には卵胞刺激ホルモン(FSH)が必須であるが、FSH受容体発現が低下しているpoor responderや加齢不妊患者においてはFSH刺激による卵胞発育誘起に抵抗性を示す。我々はCNPがFSHの下流でcGMP増加を介して卵胞発育を促進することを見出してきた。そこで本研究ではFSH抵抗性患者の卵巣刺激に対するCNPの臨床応用を目標として研究を行っている。平成26年度の計画である、【CNPによる卵胞発育促進作用の分子基盤の解明】として予定していたCNPの下流シグナル候補因子の細胞内機能解析を行った。CNPの下流シグナル候補因子について、卵胞発育の主体となる顆粒膜細胞における細胞内機能を解明するため、候補因子のinhibitorを用いてヒト不死化顆粒膜細胞種を用いた細胞増殖アッセイを行った。卵胞発育には顆粒膜細胞の増殖が必要であるために、コントロール群および候補因子inhibitor添加群のセルカウントを行い細胞増殖効果について評価を行った。しかしながら、候補因子inhibitor添加による細胞増殖への影響はないことを明らかにした。またcGMPを介した卵胞発育にはアポトーシス抑制効果における顆粒膜細胞の生存性の向上の関与が報告されている。このことからCaspase3/7 assayを用いてCNPのアポトーシス抑制効果についても検討したが、CNPにはアポトーシス抑制効果がないことも明らかになった。しかしながら、この候補因子のリン酸化タンパク質発現量はCNPにより濃度依存的に増加したことから、CNPの下流シグナルであることは明らかとなった。これらのことからCNPの細胞増殖効果はアポトーシスの抑制効果によるものではない別の候補遺伝子の関与が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画である、【CNPによる卵胞発育促進作用の分子基盤の解明】として予定していたCNPの下流シグナル候補因子の細胞内機能解析は計画通りに行うことができた。さらにCNPのアポトーシス抑制効果について影響がなかったことが明らかになった。このことからCNPはアポトーシス抑制効果による顆粒膜細胞の生存性の向上により、細胞増殖を増加させて卵胞発育を促進するわけでないことが明らかとなった。アポトーシス関連シグナル以外の候補因子が考えられる。今年度で用いた候補因子は、アポトーシス関連シグナルの候補因子ではないが、しかしながら、CNPはcGMPを介して卵胞発育を促進すると考えられるが、その下流シグナルは同定できておらず、CNPがどのような作用により卵胞発育を誘起するは未だ不明である。今回用いた候補因子は、ウェスタンブロッティングによるリン酸化候補因子の発現がCNP濃度依存的に増加していたことから、下流シグナル因子であることは明らかになった。今回は論文より有力だと思われる候補因子をピックアップしてきたが、細胞増殖には関与していないことが明らかになった。次年度ではマイクロアレイを用いたcGMP下流シグナルの網羅的解析を行う必要があると考えられる
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては加齢マウスにおけるCNPの卵胞発育促進効果を明らかにし、得られた卵子に対して体外受精・胚移植を行い卵子の質を評価する。 我々は、予備実験において加齢マウスにおける顆粒膜細胞のNPRB(CNP受容体)発現がFSH受容体と比べ、比較的保たれていることを確認している。このことは、FSHの下流であるCNPが卵胞発育促進を持つことは幼若マウスにて報告しているが、このCNPの卵胞発育促進効果が加齢マウスにおいても有効である可能性を示唆している。そこで、加齢マウスにCNPを投与し卵胞発育誘起を試み、CNP投与により得られた卵子についてその機能評価を行うことを計画している。 加齢マウスにおけるCNPの卵胞発育促進効果は、CNPを腹腔内投与し、その後排卵刺激を行った後に得られた卵子数と成熟度を測定する。さらに投与したマウスの安全性を調べるために体重測定や各臓器の組織学的検査等を行う予定である。得られた卵子について正常性を調べるために、受精率、胚発生率について評価する。さらに得られた受精卵を胚移植を行い、生殖可能な受精卵であるかを確認する。 将来的な臨床応用を目標とするために、CNPが加齢マウスにおいても卵胞発育を促進するのか、そしてCNP投与によって得られた卵子が生理的なFSH刺激で得られた卵子と同等であるかということを明らかにする予定である。
|
Causes of Carryover |
平成26年度の計画である、【CNPによる卵胞発育促進作用の分子基盤の解明】として予定していたDNAマイクロアレイによるCNPの下流シグナル候補因子の網羅的解析を行っていなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、前年度予定していたDNAマイクロアレイによるCNPの下流シグナル候補因子の網羅的解析を行う予定である。
|
Research Products
(1 results)