2016 Fiscal Year Research-status Report
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26861365
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮川 麻衣子 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (60467165)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 難聴 / 人工内耳 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度までに引き続き人工内耳手術症例を対象に次世代シークエンサーを用いた難聴原因遺伝子変異の検索を行った。また、難聴の原因遺伝子変異の同定された症例に関しては、人工内耳装用後の聴取成績の評価を行い、原因遺伝子毎の装用効果に関して情報の収集および検討を行った。(本年度は出産・育児休暇を取得したため、主に収集したデータの分析を実施した) 特に今年度は、成人人工内耳症例における術前後の日本語聴取成績に関して検討した。成人人工内耳症例は言語取得期以降に難聴を発症した症例であり、遅発性、進行性の難聴が多い。また、高音障害型感音難聴を呈する症例も多く、残存聴力活用型人工内耳(Electric Acoustic Stimulation: EAS)の適応となる症例も多い。今回、我々は成人期に人工内耳手術を行った症例について遺伝子解析を行うと共に聴取成績に関して詳細に検討した。 具体的には成人期に人工内耳手術、残存聴力活用型人工内耳手術を行った77例に対して次世代シークエンサーを用いた既知難聴原因遺伝子の網羅的スクリーニングを行った。その結果、CDH23遺伝子変異が最も高頻度に認められ、次いでGJB2、TMPRSS3、ACTG1遺伝子変異が多く認められ、成人人工内耳装用患者では小児人工内耳装用患者と原因遺伝子変異の種類および頻度が大きく異なることが明らかとなった。また、CDH23、TMPRSS3、ACTG1遺伝子はいずれも高音障害型の難聴を呈する例が多く、残存聴力活用型人工内耳の良い適応であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り人工内耳装用患者の遺伝子解析を行うとともに聴取成績の収集を行った。(なお、本年度は出産・育児休暇を取得したため、主に収集されたデータの分析を行った。)
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、前年度までに引き続き人工内耳装用患者、残存聴力活用型人工内耳装用患者の遺伝子解析を継続して行うと共に聴取成績を全国的に調査し、より科学的エビデンスの高いデータを得る。また、得られた研究成果を取りまとめ論文として公表する。
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Causes of Carryover |
年度途中より出産・育児休暇を取得したため研究を一時的に中断し次年度に継続して実施するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度までに引き続き、人工内耳装用患者および残存聴力活用型人工内耳装用患者を対象に、次世代シークエンサーを用いた既知難聴原因遺伝子の網羅的解析を行う。
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Research Products
(10 results)