2014 Fiscal Year Research-status Report
老人性難聴発症に関与するSNPsの探索に関する研究
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26861366
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 伸嘉 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (20377641)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老人性難聴 / SNPs |
Outline of Annual Research Achievements |
平26年度は、日本人高齢者(健常ボランティア)サンプル700例の遺伝子サンプルおよび聴力データを基に、先行研究で老人性難聴との関連が報告されている遺伝子のSNPsについて日本人サンプルを用いて検討し、同一遺伝子(KCNQ4, NAT2, GRHL2, GRM7, IQGAP2)の関与について検討を行った。コントロールとしてはJSNPに登録されている日本人コントロールの遺伝子型を用いた。 その結果、先行研究(コーカソイド)で老人性難聴に関連があると報告されたSNPsのいずれにおいても、日本人高齢者では有意な関連は認められないことを明らかにした。この原因としては、これら遺伝子領域のハプロタイプがコーカソイドと日本人の間で大きく異なるため、有意であると考えられたSNPsに関して日本人における頻度が低く統計学的な検出力が低下したものであることが考えられた。 そこで、先行研究において老人性難聴との関与が示唆されているKCNQ4, NAT2, GRHL2, GRM7, IQGAP2の各遺伝子に関して、HapMap Japanに登録されているデータを基に連鎖不平衡ブロックの解析を行い、Tag SNPsを再度選び直して老人性難聴群とコントロールとの間で有意差を認めるか検討を行った。 また、既知の難聴原因遺伝子として報告されているGJB2、SLC26A4、COCHなどの遺伝子に関して同様にHapMap Japanに登録されているデータを基に連鎖不平衡ブロックの解析を行い、Tag SNPsを再度選び直して老人性難聴群とコントロールとの間で有意差を認めるか検討を行った。その結果、遺伝性難聴の原因遺伝子として報告のあるCOCH遺伝子に関して有意差を認める結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に得られた成果を取りまとめて投稿中である。また、日本人の老人性難聴と関与するSNPsの候補に関して同定することができており、次年度以降更に多数の検体を用いて検証を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
老人性難聴は加齢現象の一つでもあるため、内耳において機能を担う遺伝子の障害だけではなく、アポトーシス、酸化ストレス、神経変性疾患、代謝疾患、循環器疾患など他の疾患と関連している可能性があり、難聴関連遺伝子以外の遺伝子が老人性難聴に関与しており、難聴関連遺伝子のみを検討していても結果が得られない可能性がある。このことを踏まえ、本年度は他の加齢現象やアポトーシス、酸化ストレス、神経変性疾患、代謝疾患、循環器疾患において疾患との関連が報告されているSNPsの解析を行い患者の聴力データと比較検討する。
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