2014 Fiscal Year Research-status Report
生体内における超音波せん断波(shear wave)の速度を決定する因子の解明
Project/Area Number |
26861385
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福原 隆宏 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (80403418)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | shear wave / elastography / 超音波 / 甲状腺癌 / 頭頸部癌 / 音響放射圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部腫瘍および、甲状腺腫瘍の病理像とshear wave速度の関係性を、摘出標本を測定することによって明らかにした。これまでは、悪性腫瘍で細胞密度が上昇すると組織弾性が高くなり、shear wave速度が早くなるのではないかと推定されていた。しかし本研究において、頭頸部癌、甲状腺癌いずれにおいても、細胞密度や病理組織型よりも、線維化程度がもっともshear wave速度に影響を与えることが解明された。これによって、これまで悪性腫瘍でshear wave速度の測定値が大きくばらついていたのが、測定誤差ではなく、線維化程度の差であったことが判明した。また、測定不能となる対象病理については議論があったが、本研究により病理組織像の不均一性が測定不可能となる原因となっていることが判った。 生体の動的アーチファクトは病理像の差異がもたらす程の影響を、shear wave速度に与えていないことが判明した。599の甲状腺対象組織間でshear wave速度の測定誤差と、組織間の差異を比較した結果、測定誤差は有意に小さいことが判明した。 これらの結果を踏まえ、まず一つに甲状腺のびまん性病変にたいしてshear wave elastographyが有用となる可能性が示唆され、自己免疫性甲状腺炎の診断と病勢予測とshear wave速度の関係についても追加で検討した。結果、自己免疫性甲状腺炎の線維化を予測する診断ツールとして有用であることが示唆された。さらには、癌の浸潤程度と線維化の相関について調べ、癌の悪性度や浸潤程度とshear wave速度の関係性についても検討していく予定である。 上記の内容は、国内学会、国際学会で発表し、論文として発表、または投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標と定めた問題点の解明が順調に進んでおり、これらの成果を国内・国際学会で発表し、論文として投稿しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で、ある程度の病理組織の不均一性があると、現在の装置ではshear wave速度を測定できないことが判明した。このため、さらに細かく区切った距離でshear waveを測定する研究を追加で検討していきたい。また、shear wave速度を決定する要因の最も大きいものは線維化と判明したが、線維化程度は必ずしも触診での硬さと相関しないと考えられる。現在、音響放射圧(ARFI)によってshear waveを発生させているが、このARFIによる組織変位を画像化したエラストグラフィーの有用性に付いても検討していく価値があると思われる。
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Causes of Carryover |
本研究に関する海外発表であったが、海外出張旅費を他の研究費を使用したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は海外発表を複数回行う予定である。
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Research Products
(15 results)