2014 Fiscal Year Research-status Report
リジルオキシダーゼ様酵素2の阻害による頭頸部扁平上皮がんリンパ節転移抑制の検討
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26861389
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
上田 哲平 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (30611941)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / 転移 / LOXL2 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
LOXL2ノックダウンSASL1m細胞を樹立し、 高転移性口腔扁平上皮がん―リンパ節転移系モデルを用いて転移率の測定を行った。陰性対照として、標的遺伝子を持たない配列の shRNAを発現するレンチウイルスベクターを導入したものを作成した。LOXL2ノックダウンSASL1m細胞ではコントロールと比べて有意にリンパ節転移が抑制されていた。 そこでLOXL2がいかにして転移に寄与しているかを解析するため、当グループの先行研究でSASL1m細胞において同じく発現亢進を確認しているTGFβについての検討を行った。LOXL2ノックダウンSASL1m細胞の培養上清中ではコントロールと比較して遷延型のTGFβは同程度だが、活性型のTGFβ量が増加していることが確認された。このことからLOXL2は細胞外基質にTGFβを沈着させることでTGFβの活性化を通じて、転移機構の動員に寄与している可能性が示唆された。 以上よりLOXL2が転移に促進的に寄与している可能性が示唆されるため、当院倫理委員会の承認を受けて頭頸部扁平上皮癌症例の臨床検体を収集を開始しており、検体の解析にとりかかっている。 また浸潤に関わる因子としてナトリウムイオン/プロトン交換輸送体1(NHE1)についても検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあるエクソソームやLOXL2阻害剤の投与により転移が亢進あるいは抑制するかの検討は行えていないが、LOXL2がどういう機序で転移に寄与しているかを検討するためTGFβの解析を追加して行い良好な結果が得られている。また臨床検体の収集に関しては予定通り倫理委員会の承認を得たうえで、臨床試験として数例の検体を収集できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も臨床検体収集とその解析を期間を通じて行い、データ数の向上に努める。そして得られるデータに関して、健常者、ステージごとの分類による腫瘍患者における血漿エクソソーム中のLOXL2レベルを比較する。さらに、腫瘍患者内では、転移の有無、治療歴 (外科治療、化学療法、放射線療法等) による分類との相関についても検討する。さらには検体採取後の予後について、追跡調査を行って LOXL2レベルと予後の相関について検討する。可能であれば、同一個体の治療・病期進行過程における経時的なLOXL2レベルの変化についても検討することで、LOXL2レベルと病期進行・転移の相関について詳細な解析を行う。以上の解析より、ヒト血漿中エクソソームのLOXL2レベルが転移の予測や予後の診断において有用と言えるか否か考察する。診断薬としての可能性について、がん転移診断薬の製造を目指している企業がすでに一社興味を示しており、有望な結果が得られれば、開発協力の可能性について模索する。同様に、LOXL2阻害薬の治療薬としての可能性についても考察する。D-penicillamineはすでにヒトに使える化合物だが、特異性において劣る。本剤をリード化合物とした創薬展開の可能性について、企業との協力関係を模索する。
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Causes of Carryover |
使用する物品が想定よりも少なくて済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品費に追加する予定である。
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