2015 Fiscal Year Research-status Report
活性酸素生成酵素Noxを標的とした頭頸部扁平上皮癌の治療法の開発
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26861391
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田浦 政彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20648026)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / 甲状腺癌 / 唾液腺癌 / 活性酸素生成酵素NOX / 慢性中耳炎 / 白血球貪食能 / 白血球殺菌能 / 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.頭頸部扁平上皮癌と活性酸素生成酵素NOXに関する研究。頭頸部扁平上皮癌症例では白血球活性酸素生成能が低下して殺腫瘍細胞能が低下していること、腫瘍細胞におけるNOX関連蛋白質の発現低下により活性酸素生成能が低下していることが予想された。頭頸部扁平上皮癌患者と健常者の白血球貪食能や殺菌能を比較したが、有意差を認めなかった。頭頸部扁平上皮癌症例の病理組織を用いてNOX関連蛋白質(NOX2、p22phox、p47phox、p67phox)の発現を免疫染色法により検討した。難治性症例におけるNOX関連蛋白質の発現低下の可能性はあるが有意差は認められない。今後症例数を増やして検討を続ける必要がある。 2.甲状腺癌と活性酸素生成酵素DUOXに関する研究。甲状腺組織ではDUOXが発現しており甲状腺ホルモン生成の際にDUOXによる活性酸素生成が必要である事が知られている。甲状腺癌患者と健常者では白血球貪食能や殺菌能の差を認めなかった。甲状腺癌と甲状腺良性腫瘍のDUOXの発現量を調べたが有意差を認めなかった。 3.唾液腺癌と活性酸素生成酵素DUOXに関する研究。唾液腺組織ではDUOXが発現しており、DUOXによる活性酸素生成能が発癌や癌治療の難治性と関与していると予想した。唾液腺癌症例ではDUOXの発現が低下している可能性があるが有意差は認められない。今後症例数を増やして検討を続ける必要がある。 4.慢性中耳炎と活性酸素生成酵素NOXに関する研究。内耳ではNOX3が発現しており難聴に関与していると言われている。慢性中耳炎症例ではNOX3が過剰発現しており中耳炎の難治性と関与していると予想した。中耳粘膜ではNOX3の発現は認めず、難治性中耳炎症例ではNOX2の発現を認めた。NOX2は中耳炎の慢性化に関与していることが示唆される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
頭頸部扁平上皮癌症例では活性酸素生成酵素NOXによる活性酸素生成能が低下しており、癌治療の難治性と関与している事を予想して研究を開始した。NOX2は白血球に発現しており、頭頸部癌症例と健常者の白血球機能を比較したが有意差を認めなかった。研究対象を頭頸部扁平上皮癌症例に限らず、甲状腺癌や唾液腺癌症例も研究対象とした。甲状腺や唾液腺では活性酸素生成酵素DUOXが発現しており、発癌や癌治療の難治性に関与していることが予想された。進行唾液腺癌症例においてDUOXが発現低下してる可能性を示唆する結果を得られた。NOX3は内耳で発現しており、難聴に関与していると言われている。慢性中耳炎症例におけるNOXの発現を調べたところ、NOX3の発現は認めずNOX2が中耳炎の慢性化に関与していることが示唆された。 当初、頭頸部扁平上皮癌腫例に限局して研究を行う予定であったが、予想された結果が得られなかったため研究対象を甲状腺癌、唾液腺癌、慢性中耳炎と拡大した。研究対象を変更したことが研究が遅れる原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.頭頸部扁平上皮癌と活性酸素生成酵素NOXに関する研究。頭頸部扁平上皮癌症例ではNOXによる活性酸素生成能が低下しており難治性の原因となっている可能性がある。引き続き、頭頸部癌症例における白血球機能、腫瘍組織におけるNOX関連蛋白質の発現について研究を行う。 2.甲状腺癌と活性酸素生成酵素DUOXに関する研究。甲状腺ではDUOXが発現していることが知られている。甲状腺癌症例におけるDUOXの発現と難治性の関係について研究を行う。 3.唾液腺癌と活性酸素生成酵素DUOXに関する研究。唾液腺ではDUOXが発現していることが知られている。DUOXの発現低下と唾液腺癌発声の関係について研究を行う。 4.慢性中耳炎と活性酸素生成酵素NOXに関する研究。NOX3は内耳で発現しており難聴に関与していると言われている。慢性中耳炎におけるNOX発現を調べると、NOX3ではなくNOX2が発現していることが判明した。慢性中耳炎症例の聴力や難治性とNOX2の発現に関して研究を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた症例数が確保できず、白血球機能測定費用、抗体購入費用が余ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
頭頸部扁平上皮癌、甲状腺癌、唾液腺癌、慢性中耳炎と研究対象を拡大して、白血球機能測定、抗体を購入して免疫染色を行う。
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