2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞を用いた気管軟骨への分化誘導に関する研究
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26861405
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
吉江 進 福島県立医科大学, 医学部, 研究員 (70705459)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 気管 / 軟骨 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌や外傷、炎症、先天奇形などにより気管の一部を切除しなければならない場合があり、気管を再生させるための技術開発が急務とされている。本研究の目的は、ヒトiPS細胞から気管を構成する軟骨細胞へ分化誘導し、ヒトiPS細胞由来気管軟骨細胞と生体適合性のある足場材料を組み合わせた気管再生技術の開発である。 平成26年度では、(1)ヒトiPS細胞由来気管軟骨細胞や分化細胞の移植を見据えた蛍光マーカーの導入、(2)移植のための足場材料の作製、(3)ヒトiPS細胞から気管を構成する軟骨細胞へ分化誘導させるための沿軸中胚葉への分化誘導、を実施した。 (1)ヒトiPS細胞へ蛍光マーカーの導入 蛍光マーカーであるGFPやtdTomatoをヒトiPS細胞に導入し、これらのマーカーを恒常的に発現するヒトiPS細胞を樹立した。 (2)足場材料の作製 Ⅰ型コラーゲンを凍結乾燥させてコラーゲンスポンジとし、気管軟骨の再生に合わせた足場材料を作製した。 (3)ヒトiPS細胞から沿軸中胚葉への分化誘導 数種類の成長因子、サイトカイン、低分子化合物を組み合わせることで、沿軸中胚葉マーカーであるCDX1, CDX4, Tbx6, MSGN1, PDGFRαの発現量が著しく上昇し、それらの陽性細胞を高い割合で確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞から沿軸中胚葉への分化誘導がスムーズに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の結果に基づきながら、In vitroとIn vivoの両局面からヒトiPS細胞由来沿軸中胚葉の分化評価をおこなう。In vitroにおいては、フローサイトメーターを使用し、ヒトiPS細胞から沿軸中胚葉への最適な分化誘導条件を検討する。また、In vivoにおいては、ヒトiPS細胞由来沿軸中胚葉をヌードマウスに移植し、沿軸中胚葉系列から構成される細胞塊(軟骨、骨、脂肪など)を確認することで、沿軸中胚葉への分化を評価する。次の段階として、ヒトiPS細胞由来沿軸中胚葉から軟骨細胞へ分化誘導させるために、成長因子、サイトカイン、低分子化合物を組み合わせながら分化誘導させる。また、軟骨細胞分化に関わる転写因子をクローニングし、それらの発現を薬剤で誘導できるようなヒトiPS細胞も構築していく。
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Causes of Carryover |
研究が概ね順調に遂行し当初の計画よりもコストを節約することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画上、翌年度は今年度よりも多くの消耗品を必要とするため繰り越し金額も含め物品費にあてる。
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