2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861412
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山下 哲範 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50588522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 耳鳴 / 骨導超音波 / RI |
Outline of Annual Research Achievements |
骨導を用いることで超音波領域の周波数は聴取できることを利用して、我々は①最重度難聴者用の超音波を用いた補聴器の開発②骨導超音波が特に高周波可聴音を強力にマスキングする特性を利用した、新しい耳鳴治療(骨導超音波マスカー療法)の開発を進めてきた。特に重度難聴者に対する耳鳴治療を確立することは難しく、超音波を利用した耳鳴マスキング療法の開発が待ち望まれている。 初年度は健聴者(耳鳴のない被験者)を対象として予備実験を開始した。本年度の被験者では骨導超音波音をマスカーに用いてRI検査を行ったところ、全例が疑似耳鳴の大きさが消失や減弱したRI陽性であった。疑似耳鳴音の周波数を変化させたが、RIの陽性率には大きな変化は認めなかった。骨導超音波の周波数を27kHz/30kHz/33kHzと変化させたが結果には違いを認めなかった。この結果から、過去の骨導超音波の報告で頻用されている周波数である30kHzを用いて今後の実験を進めることとなった。 次年度からは対象を耳鳴患者に変更して実験を遂行する予定である。耳鳴患者においてはこれまでに骨導超音波による耳鳴抑制効果について報告したが、次年度には患者の年齢や性別、聴力型、耳鳴の種類、難聴の程度別に解析を行っていく予定である。 また、RIを用いた新しい耳鳴治療を確立するために我々のグループでは、さまざまな耳鳴治療の開発にのりだしている。まずはラットを用いた耳鳴モデルの確立を目指し研究を進めている。動物を用いた行動実験による耳鳴減弱効果を証明することにも取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は健聴者による予備実験を行う計画であった。 健聴者においては概ね予想通りの結果を得ることができた。耳鳴患者に対して行う実験の標準化がすすんだと思われる。ただし、まだ症例数は少なく、次年度で耳鳴患者を対象とした実験に取りかかるが、並行して健聴者での予備実験も遂行していくことが必要である。超音波を用いた耳鳴治療の開発には耳鳴患者を用いた実験による詳細な検討が必要であるため、今後は、目的達成のために健聴者・耳鳴患者両方でのData収集をしていくことが重要になる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、健聴者を用いて耳鳴RI検査の標準化をすすめることができた。今後は耳鳴患者を中心に実験を進め、患者背景を吟味し、患者の年齢・性別・聴力型・耳鳴の音の種類・難聴の程度等別にRI陽性率やRI持続時間を測定しその抑制効果や有効性を検討していく。 また、耳鳴動物モデルの確立をめざし、可聴音や超音波による耳鳴減弱効果を動物行動実験で証明することを目指す。
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Causes of Carryover |
既存の設備を用いて多くの実験が遂行できたことで実験系の改良費が少なくなった。また、健聴被験者の謝金が時間拘束が短く済んだことなどから当該助成金が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度からは耳鳴患者を対象に行うことや健聴者に対する予備実験も継続することから謝金が増えると予想される。耳鳴患者の実験結果より、超音波呈示用設備など実験系の既存の装置の改良が新たに必要になると考えられ、購入費に使用する。
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