2016 Fiscal Year Research-status Report
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26861412
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山下 哲範 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (50588522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 耳鳴 / 骨導超音波 / RI |
Outline of Annual Research Achievements |
骨導経由であれば一般的に聞こえないとされる超音波領域の周波数(20kHz以上)が聞こえることが証明され、この現象を利用した様々な研究が施行されている。我々は重度難聴者においても骨導超音波が聴取可能なことを利用して、重度難聴者用の骨導超音波補聴器の開発と、超音波をマスカーとして利用した新しい耳鳴治療(骨導超音マスカー療法)の開発を進めてきた。現状、重度難聴者に対しては有効な耳鳴治療はほとんどないため新しい耳鳴治療の開発が求められており、超音波を利用した耳鳴マスキング療法は重度難聴者にも効果が期待できる新しい治療方法として期待されている。 昨年度までに健聴者(耳鳴の訴えのない被験者)に対して疑似耳鳴音を用いた実験を施行してきた。その結果より周波数の違いにより結果に大きな違いが生じないことが判明している。これまでの結果をもとに昨年度から耳鳴患者を対象としRI実験を開始しているが被験者数がまだ多くは確保できておらず、耳鳴患者における骨導超音波を用いたマスカー効果に対しては不明なままである。今後耳鳴患者に対して実験を進めていき、年齢や性別、耳鳴の種類、難聴の程度など別に解析を行ていく予定である。 また、新しい耳鳴治療の開発を行っているわがグループでは、ラットを用いた耳鳴モデルの確立を目指し研究を進めており、今後動物を用いた行動実験を行い耳鳴動物モデルの確立後、超音波を用いた耳鳴治療の有効性の証明・安全性の確立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度には耳鳴患者に対する実験を多く行う予定であった。 健聴者においては平成27年・平成28年度でおおむね期待されていた数の被験者数を確保し、結果を得られることができたが耳鳴患者は多く集まらなかったため、次年度でも症例数を増やして実験を遂行していく予定である。 超音波を用いた耳鳴治療の開発には耳鳴患者を用いた実験による詳細な検討が必要であり、今後も目標達成のため健聴者、耳鳴患者両方の実験を遂行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年から平成28年度までの実験結果により健聴者の結果は集まり、耳鳴患者に対して行うRI実験の標準化が行うことが可能であった。耳鳴患者に対する実験をすすめ、骨導超音波マスカー効果をあらゆる角度から分析することで新しい耳鳴治療の開発へへ結びつける。 また、耳鳴動物実験モデル確率を目指し、可聴音や超音波による耳鳴減弱効果を動物実験で証明することを目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度は耳鳴患者が集まらず、人的拘束が少なくなった。また、これまでの健聴者に対する実験結果よりRI実験を標準化するにおいて、既存の実験装置を用いることで多くの実験が遂行できたことにより当該助成金が生じる一因となった。また、被験者が集まらず結果を報告する発表回数が少なかったことが当該助成金が生じた理由と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は被験者を増やしたいと考えており謝金が増えることが予想される。また、耳鳴患者の実験結果により新規の実験の設備改良が必要となることが考えられる。そのため、プログラムの改良のための資材費や購入費が必要になる。また、実験結果は国際学会などで発表を行う予定である。
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