2015 Fiscal Year Research-status Report
コネキシン26変異を伴う遺伝性難聴病態におけるプログラム細胞死の解析
Project/Area Number |
26861420
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
井下 綾子 順天堂大学, 医学部, 助教 (00514762)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 先天性難聴 / GjB2遺伝子変異 / 内耳コルチ器 / Greater epithelial ridge / トランスジェニックマウス / プログラム細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性難聴は2,000人に1人と高頻度でその半数が遺伝性である。そのうちGJB2(コネキシン26)遺伝子変異は日本人で最も高頻度の原因遺伝子で、早期発見と治療方針を決定する上で本質的な発症原因の探求が重要である。ヒトの内耳では生検や侵襲的な生理学的検査は困難なため、ヒトのGJB2遺伝子変異と等価の動物モデルを我々の研究グループはgjb2遺伝子の優性阻害効果を示す変異体マウス(Tg)を開発した。 Tgマウスの生直後から2週齢までのコルチ器は、8日齢ですでにコルチトンネル(TC)の消失と外有毛細胞(OHC)の変性を認めた。我々のこれまでの研究において、Tgマウスの蝸牛は、生後の発達障害により早期からコルチ器の細胞骨格異常を認めるために、高度難聴を呈することが実証された。 また以上の結果から新たに、Tgマウスのコルチ器においてGreater epithelial ridge(GER)の過形成が示唆された。通常GERは未熟な内耳組織に存在し、生直後から蝸牛内有毛細胞の更に内側に認められ、成熟後の蝸牛では消失する。 GERでは通常、生後6日頃を境に急激なアポトーシスが生じ、蝸牛成熟後に消失する。これまでの我々の一連の結果から、TgマウスではGER内でのアポトーシスの異常が示唆された。具体的には、TgマウスにおけるGERを透過型電子顕微鏡を用いて細胞内のアポトーシス所見の発現の有無を確認したことと、H-E染色切片を用いてGER内の合計細胞数、GER内のアポトーシス細胞数、GER面積を測定し、正常マウスとの有意差を確認することができた。今後は、アポトーシス実行因子である活性型caspase3の発現の有無を、免疫染色にて評価することや、コルチ器三次元構築を薄切連続切片の組織学的観察とコンピュータによる再構築作業で解析することを予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
妊娠、出産、産育休、育児などが重なったため、計画通りに研究課題を進めることが困難であったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.アポトーシス実行因子である活性型caspase3の発現の有無を、免疫染色にて評価する。 2.コルチ器三次元構築を薄切連続切片の組織学的観察とコンピュータによる再構築作業で解析する。
問題点発生時には研究協力者と随時ミーティングを開いて改善策を見出す。また問題点の領域に精通した専門家の意見を仰ぐ。研究のタイミングに合うように幼若マウスが搬入されるよう、動物繁殖研究所と密に連絡をとる。
|
Causes of Carryover |
妊娠、出産、産育休、育児などが重なったため、計画通りに研究課題を進めることが困難であった。それに伴い、当初予定していた支出を見送った為。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究課題の遂行の為、実験用マウスの購入や試薬等の購入やデータ解析費用等に使用する。
|