2014 Fiscal Year Research-status Report
ラットの舌の味覚受容体遺伝子(T1Rs)発現に対する亜鉛による影響の検討
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26861422
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 真琴 日本大学, 医学部, 助教 (00526121)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 味覚受容体 / 亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
味蕾で受容されるのは、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の5味質である。そのうち、G蛋白質共役型受容体であるT1Rファミリー(T1Rs)が、甘味と旨味を、T2Rファミリー(T2Rs)が苦味を受容している。 亜鉛欠乏飼料で飼育されたラットの有郭乳頭上皮において、T2RsのうちT2R40とT2R107の受容体遺伝子の発現が低下していることが示された。一方、T2R105、T2R118、T2R121は亜鉛欠乏が受容体遺伝子の発現に影響を与えないことも示された。これらの結果を鑑み、亜鉛の欠乏がT1Rsの受容体遺伝子の発現に影響を与えるか否かを検討するために、本研究を申請した。 T1RsはT1R1、T2R2、T1R3の3種類であり、甘味受容体がT1R2とT1R3のヘテロマー、旨味受容体はT1R1とT1R3のヘテロマーとして発現している。T1Rsの特徴として、T2Rsと比べてその細胞外領域が長い特徴があり、これまでPCR法におけるプライマー設計が困難であったが、2014年にGene Bankに登録されたNM001271266.1およびNM053305.1を用いて、プライマーを設計した。 現在、コントロール群として、正常食で飼育したラットの有郭乳頭部の上皮における発現の検討を行っている。 ヘテロマーの検出において、リアルタイムPCRの発現解析は通常相対定量で行うため、同じサンプル中の異なる遺伝子の発現量を比較することはできない。そのため、絶対定量の方法について現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
亜鉛欠乏試料の作成に時間がかかり、亜鉛欠乏試料で飼育したラットの作成が遅れてしまったが、平成27年5月末には、ラットの飼育を開始できる予定である。 研究の実績の概要でも述べたように、T1Rsは細胞外領域が長いため、リアルタイムPCRのプライマー設計に時間を要したが、現在解決しつつある。 また、ヘテロマーの遺伝子発現量の比較の評価法について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
リアルタイムPCRでの味覚受容体発現の検討と比べて、in situ hybridization(ISH)のほうが、ラットの舌の味蕾における発現の局在の検討には有利と考えている。昨年度は、リアルタイムPCRでの検討のみに専念していたが、ISHのプライマー設計は可能であると考え、今後はISHも同時に推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、PCR法にて遺伝子発現を検討していたが、その実験が予定よりも遅れた。以前より行っていた、別実験と試薬や機器が重複していたため、使用額が予算より少ない額で推移し、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度末にin situ hybridyzationのプライマー設計等の実験計画が進んだため、計画より半年ほど遅れたが、概ね実験計画通り、外部委託を含めて、実験が遂行できる予定である。
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