2015 Fiscal Year Research-status Report
網膜静脈閉塞に伴う黄斑浮腫の機能・形態・分子生物学的解析
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26861444
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安田 俊介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60718419)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 網膜静脈閉塞 / 血管内皮増殖因子 / 網膜電図 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜静脈閉塞(RVO)眼に特徴的な構造変化の一つに、網膜静脈の蛇行がある。CVO studyでは、網膜静脈の程度を定性的に評価し、中等度から高度の静脈蛇行が新生血管発生のリスク上昇と有意に関連する因子の一つであると報告されている。そこで我々は、CRVO32眼において網膜静脈の蛇行度と眼内VEGF濃度との相関について検討した。静脈蛇行度と、眼内VEGF濃度、視力、中心窩網膜厚との間には有意な相関がみられた。今回の結果は静脈蛇行の評価が新生血管発生の危険性が高い症例を判別するのに有用であることを裏付けるものと考えられた(ProsOne 2015)。 またCRVOにおいては、フリッカ網膜電図(ERG)の潜時が、網膜虚血の程度推定に有用であることが知られており、我々は以前に、眼内VEGF濃度が高いほどフリッカERGの潜時が延長していることを報告した(IOVS 2011)。今回我々は、皮膚電極による小型フリッカERG装置(RETeval)を用いて、CRVO15眼に対するラニビズマブ療法前後のフリッカERGについて検討し、ラニビズマブ注射1ヵ月後に振幅には差はみられないが、潜時は治療後に有意に短縮することを報告した(Acta Ophthalmol 2015)。 RVOの重症な合併症は眼内VEGF上昇に伴う血管新生が原因となるため、RVOの経過中に眼内VEGF濃度を予測するということが臨床上重要であると考えられる。VEGF濃度との相関がみらるフリッカERGや、網膜蛇行などの形態・機能異常は、非侵襲的に眼内VEGF濃度や網膜虚血の程度を予測する因子として有用である可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜中心静脈閉塞眼の眼内VEGF濃度と形態変化との関係や、網膜電図を用いた網膜虚血の程度評価について解析を進め、研究発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も眼内サイトカインの変化、OCTを用いた網膜形態評価、ERGを用いた網膜機能評価について症例の長期経過との関連を検討する予定である。また、最近使用可能となった造影剤不要のOCT angiographyとの関連についても検討することを考えている。
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