2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861446
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 秀雄 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80724278)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 中心性漿液性脈絡網膜症 / ゲノムワイド関連解析 / 脈絡膜厚 / 量的形質遺伝子座解析 / 一塩基多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)は、若年・壮年のうちから変視症や視力低下をきたし、代表的中途失明原因のひとつである加齢黄斑変性(AMD)を続発しうる疾患であるが、その原因は明らかになっていない。全ゲノム領域を対象とした関連解析(GWAS)というゲノム学的研究手技は、CSCの発症や予後に関与する遺伝子・分子を明らかにしうる。また、脈絡膜の厚みを光干渉断層計により非侵襲的に定量し、これを量的形質とした量的形質遺伝子座解析(QTL解析)を行うことで、CSCやAMDとの関連が示唆されている脈絡膜厚の個人差に関与する遺伝子・分子を明らかにしうる。 平成26年度は、同意を得て末梢血採取を行ったCSC症例の中から、本研究に適したサンプル選定を行うとともに、末梢血からのDNA抽出を行った。合250例のCSC症例DNAを用いて、全ゲノム領域の多数の一塩基多型(SNP)の遺伝子型決定を行った。この結果を症例群とし、取得済の一般健常人全ゲノム領域SNP遺伝子型情報を対照群として、全ゲノム領域の各SNPについて症例対照関連解析を行った結果、ある遺伝子領域がCSC発症と関連する可能性が示唆された。現在、CSC症例のDNAサンプルを保有する共同研究施設において、この結果の再現性を確認するための検討を進めているところである。 並行して、全ゲノム領域SNP遺伝子型情報を取得済みのAMD症例745人について、光干渉断層計画像を用いた黄斑部脈絡膜厚の定量を終了し、これを用いた全ゲノム領域QTL解析を行った。既報でAMD発症と非常に強い関連が示されているある遺伝子領域が、AMD症例の脈絡膜厚の個人差とも関連する可能性が示された。この結果についても、別のサンプルセットを用いた再現性確認を進めているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)250例のサンプル選定、全ゲノム領域の一塩基多型の遺伝子型決定、症例対照関連解析は予定通り進行し、現在、得られた結果の再現性確認を進めているところである。また、加齢黄斑変性(AMD)症例の黄斑部脈絡膜厚測定と、それを用いた量的形質遺伝子座解析も予定通り進行し、同じく再現性確認を進めている。CSC250例の臨床情報を収集し、自然軽快例と遷延例の2群に分ける作業も予定通り進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の検討でCSC発症との関連が示唆された遺伝子領域と、AMD症例の脈絡膜厚との完成が示唆されたARMS遺伝子領域について、別のサンプルセットを用いた再現性確認を引き続き進める。再現性が確認された時点で、当初の予定通り、対象領域のfine mappingを進める予定である。
|