2015 Fiscal Year Research-status Report
生体適合性架橋剤とフェムト秒レーザーを用いた角膜実質再生治療法の開発
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26861447
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
相馬 剛至 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70582401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 角膜実質 / 生体適合性架橋剤 / アテロコラーゲン / フェムト秒レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に検討した生体適合性ポリエチレングリコール(PEG)の末端にコラーゲンモデルペプチド(Pro-Hyp-Gly)10:(POG)10を結合した生体適合性架橋剤とブタ由来1型コラーゲンを用いたアテロコラーゲンの混和における最適な条件(濃度、pH)を決定した。また、フェムト秒レーザーについても最適な照射条件(エネルギー、照射速度、照射時間)を決定した。 上記の条件でフェムト秒レーザーを用いて家兎角膜実質を直径8mmにて円形に切開し、円周部に作製した垂直切開より生体適合性架橋剤とアテロコラーゲンの混和物を注入した。注入前および注入後1、2、3、4週間の時点で角膜厚を測定した結果、切開のみを行ったコントロール眼と比較して角膜厚は全測定点において厚かった。加えて、注入眼では光干渉断層計にて角膜実質中層に輝度の異なる層がin vivoで確認できた。また、HE染色においても実質中層に無構造の層が確認され、明らかな血管新生や炎症細胞の浸潤を伴っていなかった。PEGの免疫染色を行った結果、実質中層にPEGが発現していた。CD4、CD11b、CD3、CD20、F4/80、CD8、tubulin、α-SMAの免疫染色を行った結果、いずれも注入眼において発現は認めず、本架橋剤とアテロコラーゲンの注入に伴う炎症細胞の浸潤や瘢痕形成は生じていなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画である生体適合性架橋剤とアテロコラーゲンの濃度条件の検討について、最適な条件を確立することができた。家兎に対する混和物の注入実験についても26年度に引き続き行い、注入眼において術後に角膜厚が厚くなること、一定の透明性が得られることを確認し、本方法が家兎角膜に対して治療効果があることを見出した。加えて、組織学的検討において炎症細胞の浸潤や瘢痕形成が生じなかったことを確認し、混和物が生体適合性を有していることを見出した。以上より、今年度は計画通りにおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的検討を含め、必要な動物実験を完遂する。動物実験による安全性、有効性が確立された後、倫理委員会へ申請を準備する。フェムトセカンドレーザーはすでに眼科臨床で用いられていること、架橋剤についても生体適合性を有するポリエチレングリコールとモデルペプチドから構成されることから、倫理委員会のプロセスは比較的円滑に進行すると考える。将来的には円錐角膜や角膜感染症後の菲薄化角膜を対象とした臨床研究の施行を目指している。
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Causes of Carryover |
動物実験に供した家兎が予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は動物実験、組織学的検討を完遂し、倫理委員会申請の準備を行うとともに、集積したデータを解析し、得られた成果を論文に投稿する予定である。
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