2015 Fiscal Year Research-status Report
培養口腔粘膜上皮細胞シート移植後の角膜移植施行における摘出角膜組織の解析
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26861448
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大家 義則 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20599881)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医学 / 角膜上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養口腔粘膜上皮細胞シート移植後の4例の患者において全層もしくは表層角膜移植を施行し、摘出角膜組織を対象として、培養移植後の角膜上皮や実質の組織変化について、HE染色及び免疫染色に加えて電子顕微鏡(TEM)で検討を行った。 HE染色ではいずれの症例においても上皮層は重層化しており、基底部には小型の細胞を認めた。重層度合いにはばらつきがあり、3例において2層~4層程度であったが、1例においては10層以上の重層化が見られており、口腔粘膜組織に類似していた。細胞形態は基底細胞が表層細胞よりも小さく、傾向を認めた。 免疫染色では、4例全例においてp63, K3/76, K4, K13陽性細胞を認めた。さらにMUC16が3例で、ZO-1, K12が1例で陽性であった。K15,p75は全例でも陰性であった。 電子顕微鏡を用いた評価では上皮細胞は正常の携帯をしており、lamina densaやlamina lucidaが確認された。タイトジャンクションやアドへランスジャンクション、デスモソームも確認された。 これらの結果から、培養口腔粘膜上皮細胞は角膜上に移植後も基底部にはp63陽性の幹細胞を含み、K3/76およびK4,K13陽性であることから、培養口腔粘膜上皮細胞は眼表面に移植されて1年以上経過しても、シート移植前のphenotypeを維持していることが示唆された。また1例において、角膜上皮特異的ケラチンであるK12が陽性であり、角膜上で角膜上皮化成したと考えられた。3例においてはMUC16陽性であることから、角膜上皮様に変化していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り、培養口腔粘膜上皮細胞シート移植後の角膜移植症例において、摘出角膜に対して幹細胞機能、上皮細胞のphenotype、上皮細胞の形態、バリア機能について検証を行うことができた。また電子顕微鏡を用いた上皮細胞の評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度においては、涙液中のサイトカイン濃度についても検討を行って、上皮phenotypeや各種マーカーの発現との関連について検討を行い、クラスター解析によってヒートマップを作製して解析を続けることとする。
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