2015 Fiscal Year Research-status Report
網膜血管新生におけるSIRT1の役割の解明及びSIRT1活性化経路の解析
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26861449
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松宮 亘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30707120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 網膜血管新生 / cAMP / SIRT1 / MRP4 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、cAMPの病的網膜血管新生への関与につき高酸素誘発網膜症(OIR)モデルを用いて調べた。cAMPを基質とする排出型トランスポーターであるMultidrug resistance protein 4 (Mrp4)ノックアウト(KO)マウスを用いてOIRモデルを作成し、MRP4が病的網膜血管新生に対して抑制的に働いていることが示され、結果としてcAMPと病的網膜血管新生の関連が示唆された。 次年度(平成27年度)はcAMPとSIRT1の関連を明らかにするため培養ヒト網膜血管内日細胞(HREC)を用いたin vitro実験を行った。細胞内cAMPの誘導物質であるフォルスコリン(FSK)がSIRT1発現に及ぼす影響について、real-time RT-PCR法を用いて測定を行った。異なる濃度(10,50,100 μM) のFSKを添加し培養し、0.5時間後、2時間後にSIRT1mRNA測定を行ったところ、100 μM FSKにおいて有意な増加を認めた。以上よりHRECにおいてcAMPはSIRT1の発現を促進する可能性が示唆された。 また並行してcAMPの加齢に伴う網膜組織変化に対する影響を調べるためMrp4KOマウス用いたin vivo実験を行った。Mrp4 KOマウスとコントロール(野生型)マウスを用いて成体マウス(生後8-10週)、リタイアマウス(生後9-12ヵ月)の加齢性網膜構造変化及び網膜血管構造変化を解析した。網膜伸展標本ではいずれの比較においても形態異常を認めなかったが、網膜切片では野生型マウスで認められた内顆粒層/外顆粒層の菲薄化はリタイアMrp4KOマウスでは認められなかった(P<0.05)。(2016 日本眼科学会)以上の結果に対し、今後さらにcAMP-SIRT1が保護的に作用しているかどうかの検討が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト網膜血管内皮細胞(HREC)を用いた in vitro実験においてcAMPとSIRT1の関連の可能性は示唆されたが、詳細な経路の解析にはさらなる追加実験を要する。またin vivo実験でもMrp4KOマウスにおける網膜血管変化を確認できたが、SIRT1の影響についてはさらなる検討を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト網膜血管内皮細胞(HREC)を用いた in vitro実験においてcAMPとSIRT1の関連及びも膜血管新生に与える影響をより詳細に明らかにするため、HRECに対しレスべラトロール投与や、SIRT1ノックダウン誘導を行い、血管新生に係わる特性の評価やcAMPを介するSIRT1活性化経路の解析を行う。さらに現段階でMrp4KOマウスを用いたin vivo実験がすすんでおり、FSK投与や酸素負荷、加齢性変化などに対するSirt1の発現を確認し、レスベラトロールの投与時のSirt1発現変化や表現型変化を観察する。
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Causes of Carryover |
in vivo実験及びin vitro実験の遂行において一部当初の計画から異なったため、本年度の研究経費に未使用分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費は主に動物の飼育料、免疫染色用抗体、リアルタイムPCR用プローブ・プライマーなどの実験試薬に使用する。また、研究成果発表のための学会旅費、論文投稿料などにも使用する計画である。
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Research Products
(1 results)