2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861450
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
濱崎 一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (50600532)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 外眼筋固有感覚 / 眼球運動 / 斜視手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、外眼筋の固有感覚の存在についてはいくつかの文献を散見できるが、その役割は未だ明確になっていない。斜視手術の術眼の外眼筋の固有感覚の変化が、推測された視線方向に与える影響について調査し、その役割について検討した。片眼斜視手術(後転術および/もしくは短縮術)を施行した8例(平均年齢30±22、外斜視4例、内斜視4例)を対象にHESS変法(片眼遮閉下で単眼視(術眼、非術眼)させ、暗室下で頭部を正中位に固定し、中心と推測される位置をポインターで示してもらい、中心位置からの視線方向の偏位(°)を測定した)外斜視の場合は固視眼の外方偏位を+(プラス)、内斜視の場合は内方偏位を+とし、反対は-(マイナス)とした。術前後で2回測定し、術眼と非術眼の視線方向の偏位の変化についてウィルコクサン符号付順位検定で比較し、固有感覚の影響について評価した。結果、術前の偏位(平均±SD)は、術眼が4.9±10.4°、非術眼が3.1±5.3°であった。術後の偏位は、術眼が-3.1±5.3°、非術眼が-4.4±4.7°であった。術眼、非術眼ともに術前後で有意差を認めた。(p<0.05) 術眼のみならず非術眼も同程度の推測された視線方向の変化を認め、術後の異なる固有感覚の知覚情報が非術眼に影響したと考えられた。視覚のみならず外眼筋の固有感覚も視線方向を知覚する情報として得ていると考えられた。 次に、斜視16例(平均年齢22±17,外斜視10例,内斜視6例).健常者13名(平均年齢34±10)を対象に、HESS変法を行ったところ.健常者、外斜視に対し有意に内斜視で視線方向の偏位が認められた.特に年齢に相関していた。遠心性コピーもしくは外眼筋固有知覚の異常の可能性を示唆し、これらは内斜視の生じる原因である可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、眼鏡型頭位測定が可能なJINSMEMEを用いて斜視術前後での頭位の変化を調査したが、有意な結果はえられなかった。そこで、一般臨床で用いられるHESSチャートを用いた測定方法(HESS変法、下記)を新しく考案し、追加でデータを取り直したため、研究の進行に遅れが生じ、研究期間を延長することになった。
<HESS変法> HESSスクリーンテストの検査台を用い,被検者の頭部をヘッドバンドで正中位に固定し,片眼遮閉下で単眼視(優位眼,非優位眼)させ,暗室下で検査開始時ランダムな位置にあるポインターを手元のマウスデバイスで操作し,中心と推測される位置を示してもらった. HESSの目盛を参照し,Image J(Wayne Rasband,NIH)を用いて,中心位置からの視線方向の水平偏位(°)を測定した.
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Strategy for Future Research Activity |
この研究成果を臨床眼科学会(2017年)、日本眼科学会総会(2018年)、米国国際学会ARVO(2018年)で発表した。次に論文で発表する予定である。さらに、外眼筋の固有知覚の影響について、外眼筋の切除術とPlication法で比較しその差について近日中の学会で発表する予定である。
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