2014 Fiscal Year Research-status Report
アラーミンシグナルを介した角膜潰瘍形成の分子機序解明
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26861453
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
折田 朋子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50467792)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染性角膜潰瘍 / 自然免疫 / コラーゲン分解 / アラーミン分子 / 角膜線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染性角膜潰瘍は,種々の病原微生物が角膜に感染し傷害が角膜深部に広がり形成される.感染性角膜潰瘍は感染初期なら抗菌剤による治療が容易であるが,ある程度進行した角膜潰瘍ではすぐには治癒にいたらず,さらに進行する例をよく臨床の場でみかける.また,感染性角膜潰瘍は,たとえ治癒してもしばしば角膜実質に永続的な瘢痕,混濁をきたし,著しい視力障害をきたすことがある. このことは,病原微生物の死滅のみでは角膜潰瘍形成及び瘢痕化は十分に阻害できないことを示唆する.本研究の目的は,自然免疫に焦点をあて,感染性角膜潰瘍形成及び瘢痕化の病態解明を行い,より特異的な治療法を開発することである. 近年,感染や外傷などで傷害を受け,壊死した細胞から細胞内分子が放出され,自然免疫系を活性化させることが明らかになってきた.壊死細胞より放出された細胞内分子の多くは,TLRsによって認識される.このように,侵襲や障害局所の壊死細胞から遊離してきて,周辺細胞の自然免疫を誘導する分子をアラーミンと呼ぶ.アラーミンは組織修復に関与する一方で,局所炎症をオートクライン,パラクライン的にさらに増悪させる. 平成26年度の研究においては,角膜実質細胞を凍結・溶解させることで細胞壊死を起こさせ,そこから分泌されるアラーミン分子を数種類特定した.そのアラーミン分子を健常な角膜実質細胞に添加し,さらなる分泌促進の有無とシグナれ伝達経路の特定,また細胞死,および細胞増殖への影響を検討した. さらに検討を進めることで,壊死細胞による健常細胞への炎症波及効果を抑制するための新たな感染性角膜潰瘍治療薬の確立を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の達成目標である, ①壊死に陥ったヒト角膜上皮細胞、角膜線維芽細胞より分泌されるアラーミン分子の同定, ②シグナル伝達経路の検討, ③細胞死,細胞増殖への検討, ④細胞移動,細胞接着に対する作用の検討までは達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続, 角膜線維芽細胞のI型コラーゲン三次元培養系におけるコラーゲン分解への作用の検討, 角膜上皮細胞のバリアー機能への作用の検討, ウサギ角膜炎, 潰瘍形成モデルにおけるアラーミンシグナル抑制による効果の検討を行っていく。特に課題の変更は予定していない。
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Causes of Carryover |
本年度における実験計画に大きな変更はなかったが、当初予定していた実験試薬の変更により706,752円の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の実験試薬購入に充てることとする。
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