2014 Fiscal Year Research-status Report
眼内増殖性疾患における硝子体液中のmicroRNAの発現解析とその機能解析
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26861469
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
臼井 亜由美 順天堂大学, 医学部, 助教 (80645664)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 増殖糖尿病網膜症 / 増殖硝子体網膜症 / マイクロRNA / 上皮間葉系移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼内増殖疾患硝子体中で有意に発現が亢進していたmicroRNA-21(miR-21)に着目し、まず様々な網膜硝子体疾患(網膜剥離、増殖硝子体網膜症、糖尿病網膜症 黄斑円孔など)の硝子体中のmiR-21の発現を多症例にて検討を行い、増殖病態と相関をもって発現していることがわかった。そこで、線維増殖過程におけるmiR-21の発現解析と機能解析をin vitroにて行った。 ヒト網膜色素上皮細胞株であるARPE-19を用いて、眼内増殖疾患において主要な病態メカニズムである網膜色素上皮の上皮間葉系移行(EMT)におけるmiR-21の発現解析を行った。TGFβでARPE-19を刺激するとEMTが誘導でき、miR-21の発現が有意に亢進した。さらに同様の反応を高グルコース環境下で行うと、TGFβ刺激によるmiR-21の発現上昇が、有意に増加した。 miR-21の機能解析を行うため、miR-21 mimic およびmiR-21 inhibitor を用いてARPE-19にmiR-21の過剰発現および発現抑制を誘導した。効率の良い過剰発現および発現抑制を確認したのち、免疫染色、ウエスタンブロット、RT-PCRにて、上皮系マーカー、間葉系マーカーの発現レベルを比較することで、miR-21にEMTを誘導する機能を有するか検討を行ったが、miR-21単独の過剰発現ではEMT変化をとらえられず、また、発現抑制では、TGFβのEMT変化をレスキューできなかった。次に、細胞増殖能を検討するため、細胞増殖アッセイを行ったところ、miR-21の過剰発現にて、ARPE-19の細胞増殖が有意に亢進し、反対にmiR-21の発現抑制で有意に細胞増殖が低下した。 以上の結果から、増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症などの眼内増殖疾患硝子体中で発現が亢進しているmiR-21は、細胞増殖能を亢進することで眼内増殖疾患の線維増殖病態に機能している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miR-21の機能解析にて仮説のフェノタイプを示さなかったが増殖能へのフェノタイプを見出した。 miR-21の発現解析および、機能解析に関しては概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-21の機能解析をさらに細胞増殖能、遊走能に関して進めていく。miR-21のターゲット遺伝子の発現変化を見出し、フェノタイプとの関連性を検討していく。 miR-21以外の候補miRNA(let-7e, miR-204など)も同様に機能解析を行い、それぞれがどのように眼内増殖疾患の線維増殖病態に機能するかを検討する。 また、EMTや増殖に機能する可能性のあるmiRNAに関しては、増殖硝子体モデルマウスを作成し、in vivoによる検討計画している。
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Causes of Carryover |
海外での研究成果報告を行わなかったため、旅費が計画時よりも低額であった。 今年度は人件費を利用しなかった。 miR-21の機能解析のみおこなったため機能解析に持ちいるmiRNAオリゴ試薬を当初の計画よりも費用がかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度行わなかったその他の候補miRNAの合成オリゴの購入費や臨床応用を見据えたmiRNA製剤を用いた研究を行うための、物品試薬などの購入などに使用する。 また、次年度の人件費など、論文作成にかかる費用に使用する。
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Research Products
(3 results)