2015 Fiscal Year Annual Research Report
プロサポシントランスジェニックマウスにおける網膜視細胞変性の病態解析
Project/Area Number |
26861476
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
小野 公嗣 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00548597)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロサポシン / サポシン / 網膜色素変性症 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
プロサポシン (PSAP) はリソソームに運ばれてスフィンゴ脂質の加水分解に必須の糖タンパク質 - サポシン (SAPs) A, B, C, D - を生成すると同時に、細胞外に分泌され、パラクラインあるいはオートクラインに栄養因子等として機能しているとされている。2012年に、神経軸索のガイダンス分子セマフォリンの1つであるセマフォリン4A (Sema4A) が網膜色素上皮細胞 (RPE) からのPSAPの分泌に関わり、その遺伝的欠損はヒトの網膜色素変性症を引き起こすことが報告された。そこで、本研究では、PSAP欠損マウス (PSAP-KO) および PSAP過剰発現マウス (PSAP-Tg) の網膜の表現型解析を通して、網膜におけるPSAPの機能と網膜色素変性症との関連を明らかにすることを目指した。 平成27年度はPSAP-Tg網膜における視細胞変性の分子メカニズムを解明すべくPSAP-Tg網膜のオートファジーフラックス解析を行った。その結果、病初期である2週齢のPSAP-Tg網膜において、LC3-Ⅱ/Ⅰ比の上昇とp62 の発現低下が認められ、オートファジーの活性化が示唆された。LC3 の発現を免疫組織化学的に解析した結果、野生型マウスの網膜ではRPEにのみ発現を認めたのに対し、PSAP-Tg網膜では視細胞の細胞体からなる外顆粒層においてLC3の染色強度の上昇が顕著であった。以上の結果より、PSAPの発現量の上昇が網膜視細胞におけるオートファジー異常を介して視細胞死を惹起する可能性が示唆された。本研究の成果からPSAPが網膜色素変性症の病態に深く関わっていることは明らかであり、今後もPSAP-Tgを用いた網膜色素変性症の病態解明に取り組んでいく予定である。
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