2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861498
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 勝宇 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10583156)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 真皮幹細胞 / SKP / 高齢者皮膚 / 皮膚再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
老人性眼瞼下垂手術時に切除した眼瞼皮膚組織2例より、ヒト真皮由来多能性幹細胞を採取した。組織を細切後、デイスパーゼ(1000U/ml)にて処理し、表皮組織を除去後、真皮組織を1~2mm角に細切し、0.5%コラゲナーゼ処理37℃で1時間反応させた。2度の遠心操作、洗浄後、40μmセルストレナーを通して濾過し、細胞浮遊液を得た。これをsphere形成培地(DMEM/F12, 40ng/m/ FGF,20ng/ml EGF)で培養後、形成されたsphereを培地ごと回収、遠心分離後に培地を除去した。このsphereをトリプシン処理、あるいはピペッテイングにてsphereの解離を試みたところ、多少の解離はあったものの、ほとんど分離しなかった。そのため、解離操作は行なわず、sphereをそのまま増殖培地(DMEM/F12, 10%FBS, または20%40ng/m/ FGF,20ng/ml EGF)にて増殖させた。sphereは接着し、10%FBS, 20%FBSのいずれの条件下でもすみやかに増殖し、20%FBS添加培地の方がより効率よく増殖した。1回の継代後、遠心にて細胞を回収し、再びsphere培地に戻し、再sphre化した。この細胞をin vivoへと移植する前に、多分化能について確認した。RT-PCRにより真皮幹細胞マーカーを確認したところ、発現が確認できた。しかし、脂肪分化、骨分化とも、分化効率が悪かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、検体として手術余剰皮膚を提供していただける患者数が予定よりやや少なかった。理由として、検体提供にご協力いただける患者様の皮膚量が少ない症例が多く、検体として適応とならなかったことが原因である。しかし、検体を採取できた症例では、幹細胞の採取、培養は順調に経過し、幹細胞マーカーや多分化能の検証も確認できたため、全体としてはおおむね順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、検体採取対象の年齢層の拡大と、採取部位の適応を拡大(前額、頬、下顎、耳周囲、頸部など)し、検体数確保を実現する。 一方、高齢者に頻度の高い眼瞼下垂手術により、切除される余剰皮膚が生じるため、眼瞼皮膚より多能性幹細胞が採取できれば効率的である。多部位や若年者と比較し、多分化能が落ちても、培養法等の工夫により数的に確保できれば、臨床的な応用は不可能ではないため、引き続き眼瞼皮膚についても検討を行なう。
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Causes of Carryover |
今年度は、検体として手術余剰皮膚を提供していただける患者数が予定より若干少なく、また、ご協力いただける患者様の場合も皮膚量が少なく、検体として適応とならない症例もあった。これらのことより、予定よりも検体処理数がやや少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、対象年齢層の拡大と部位も拡大し、検体数の確保を実施、幹細胞の増幅培養方法の検討をすみやかに実施する。その後、当初の計画通り、in vivoでの実証を行なうため、免疫不全動物への移植実験ならびに、in vivoにおける移植後組織の組織検証を推進する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] 当科における胸腔胸壁再建術について2014
Author(s)
吉川勝宇, 上田真帆,中村陽子, 齊藤晋, 益岡弘, 山脇聖子, 内藤素子, 河合勝也, 鈴木茂彦
Organizer
第57回 日本形成外科学会総会・学術集会
Place of Presentation
長崎ブリックホール
Year and Date
2014-04-09 – 2104-04-11