2015 Fiscal Year Annual Research Report
自家神経グラフトと幹細胞を融合した強化型神経グラフトの開発
Project/Area Number |
26861499
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 興一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90423178)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪組織由来間葉系幹細胞 / シュワン細胞 / 神経グラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
自家神経グラフト(ANG)は神経再建の標準術式だが、移植床の血行不良や径の大きなANG移植ではANG内シュワン細胞(SC)の生存率が低下する。その解決策として血管柄付きANGは臨床的にも効果が認められてはいるものの、解剖学的理由等から全ての症例に用いられるわけではない。そこで今回我々は、様々な細胞保護効果が報告されている脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)とANGを融合した強化型ANG開発の可能性を探った。 昨年度の研究結果をin vivoモデルを作製することで検証した。約7mmのラット腓骨神経欠損に対し、ANGをシリコンチューブ内に挿入した状態で移植することで移植床血行不良ANGモデルを作成した。移植時においてASCをANG神経上膜内にマイクロシリンジで注入することでASC融合ANGを作成した。移植後10日目でANG内死細胞を評価した。また長期生存モデルにて機能回復、遠位神経の組織形態学的評価を行った。 in vivoモデルにおける10日目のANG内アポトーシス細胞数は、ASC融合群では非融合群に比して有意な減少を認めた。移植後3ヶ月目の評価では、前脛骨筋重量回復、遠位神経切片内軸索総面積のそれぞれにおいてASC融合の有意な効果が認められた。一方、移植したGFP陽性細胞は10日目神経切片においてはいくらか認められたものの、3ヶ月目においては認められなかった。 ASCのSCに対する保護効果が明らかとなった。比較的粗な組織である神経上膜内へ移植することで長距離ANGにも応用でき、かつ移植操作による神経周膜内の組織破壊も防ぐことができる。ASC融合ANGは今後、血管柄付きANGに加えて末梢神経再建における新たなアプローチとなり得る可能性が示唆された。
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