2015 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚脱神経後における代償性軸索側芽形成促進による再建乳房知覚向上の試み
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26861500
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西林 章光 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00647133)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌患者において乳癌手術後の知覚鈍麻は、熱傷や創傷治癒遅延の原因となりうる。そのため乳癌全摘後の患者では知覚神経の再生が期待される。我々の研究チームでは、採取が容易な脂肪組織から脂肪幹細胞(ASC)を抽出し、それをシュワン細胞様細胞(dASC)へと分化誘導させる方法を確立しており、それを用いた研究成果をこれまでも報告している。昨年度はASCからdASCへと分化させ、dASCがシュワン細胞(SC)と同程度の神経栄養因子であるNGF,BDNFを分泌していることをELISAで示した。今年度はそのdASCを実際に動物モデルに移植することで知覚神経再生への影響を調べた。末梢神経再生には側芽形成と軸索再生による機序がある。側芽形成を調べるモデルとして、ラット背部皮膚で、一本の肋間神経を残しそれに支配される知覚領域の変化を経時的に測定した。その知覚領域辺縁皮膚にdASCを移植し、知覚領域の変化への影響を調べた。次に軸索再生を調べるモデルとして、一本の肋間神経を同定したのち、その神経に圧挫損傷を加えた。術後1週間後に、回復してきた知覚領域辺縁にdASCを移植し、知覚領域の変化を経時的に測定した。いずれのモデルにおいてもdASCを移植した群では有意に知覚領域の拡大を認めた。また、軸索再生もでるでは、知覚領域の拡大が実際にdASCから分泌されるBDNFによるものかどうかを調べるため、抗BDNF抗体を動物に全身投与することで知覚領域の変化を経時的に測定した。
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