2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢者敗血症患者におけるB細胞機能低下のメカニズムを探る
Project/Area Number |
26861519
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
鈴木 浩大 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (80724583)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 敗血症 / B細胞 / 加齢 / 免疫グロブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは高齢敗血症患者におけるB細胞の機能解析を行うため、健常若年成人、健常高齢成人、若年敗血症、高齢敗血症と罹患後1週間後の同じ敗血症患者より末梢血を採取し、血清IgM値、末梢血中B細胞のサブタイプ解析を行った。 予備実験と異なり、健常人、敗血症患者双方において、若年群、高齢群の血清IgM値、B細胞のサブタイプに有意な差を認めることができなかった。しかし、高齢敗血症患者のみに注目すると、血清IgM値は集中治療における重症度と負の相関関係にあり、血清IgM値が低値であるほど重症度が高いことを見出した(p<0.05)。 また、健常成人群(若年成人+高齢成人)と比較し、敗血症群(若年敗血症+高齢敗血症)の末梢血中B細胞のサブタイプにおいて、慢性感染症時に認められる疲弊B細胞と同様のphenotypeをもつCD21negative B細胞群の割合の有意な増加をしていることを確認した(p<0.001)。さらに末梢血中B細胞を磁気分離し、CpGを添加し1週間培養。その培養上清中のIgM値を測定すると、健常群と比較し、敗血症群において有意に低下していることがわかった(p<0.05)。 上記より、1, 発症時の血清IgM値が重症度と関連している可能性が示唆され、2, その原因として慢性感染症罹患時に認められるような疲弊したB細胞と類似した細胞の割合が増えることで、細菌に対して十分な免疫グロブリンの産生ができなくなっている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた結果は高齢敗血症患者のみに焦点をあてたものではないが、申請者らが平成26年度に予定していた敗血症罹患時、敗血症罹患後における末梢血B細胞の機能解析は概ね終了することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
発症時の血清IgM値が重症度と関連している可能性を検討するため、敗血症モデルマウス(盲腸結紮穿刺法もしくはLPS投与)に対してIgM投与を行うことで、生存率が改善するか検討する。さらに、申請者らはBcells deficientマウスとIgMが分泌できないマウスを2種保有しており、それらが敗血症モデルで生存率がどのようになるか、またIgM投与で生存率が改善するかを検討する。また、ヒト末梢血にIgMを投与することによる免疫機能の変化も予定通り行う。 そして、今回新たに見出した疲弊B細胞様の細胞についても解析を行う。同細胞の検討を敗血症患者に加え、透析患者でも行い、いわゆる免疫不全患者において増加がないか確認し、その分泌能についても検討する。
|
Causes of Carryover |
概ね計画通りの額面を使用できたが、上記額の助成金が余剰となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に持越し、計画通りに研究を遂行するため使用させて頂きたい。
|