2014 Fiscal Year Research-status Report
Fアクチン-DNGR1シグナルを標的としたクラッシュ症候群に対する新規治療法開発
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26861521
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 寿健 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70644003)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DAMPs / クラッシュ症候群 / Fアクチン / DNGR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、最近DAMPsとしての潜在性を持つことが明らかにされたFアクチンが、クラッシュ症候群において、どのように炎症惹起、多臓器不全の進展に関与しているかを追求することにある。この機序が明らかにすることで、Fアクチンを標的としたクラッシュ症候群に対する新規治療薬を開拓する。本研究の焦点を以下の3つに絞り実施する。(1)クラッシュ症候群モデルにおけるFアクチンのDAMPsとしての評価:ラットクラッシュ症候群モデルで、In vivo蛍光イメージング法を用いて、受傷早期から経時的に可視化・評価し、各臓器において誘導されるFアクチン-DNGR1受容体シグナル系の動態を解析し、SIRS発症からMOFに至るメカニズムを明らかにする。また血清学的検査やReal-time PCR法、ELIZA、組織標本などの検査手法を用いて経時的に評価し、MOFのメカニズムを解明する。 (2) クラッシュ症候群モデルに対する抗Fアクチン抗体、抗DNGR1受容体抗体投与おける治療効果の評価:上記の研究結果を踏まえて、抗Fアクチン抗体や抗DNGR1受容体抗体を投与し、抗炎症効果、臓器損傷抑制効果、生存率改善効果を評価する。(3)実際の筋細胞障害を伴う疾患(クラッシュ症候群を含む)の、FアクチンのDAMPsとしての評価:実際の筋細胞障害を伴う疾患(クラッシュ症候群を含む)に対して、血中Fアクチンを測定し、FアクチンがDAMPsとして作用しているかについて検証する。さらに血中Fアクチンが重症度判定などにおける有用な指標となり得るかを評価する。 ラットクラッシュ症候群モデルは既に確立しており、現在上記検討を順次進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クラッシュ症候群における、FアクチンのDAMPsとしての機能を明らかにし、Fアクチンを標的としたクラッシュ症候群に対する新たな治療薬を開拓するため、以下の3点に焦点を絞り順次実施している。(1)クラッシュ症候群モデルにおけるDAMPs(Fアクチン)の評価:確立したラットクラッシュ症候群モデルを用いて、クラッシュ損傷後の血中Fアクチンの動態を経時的、定量的に測定する。免疫染色法、In vivoイメージング、Real-time PCR法、ウエスタンブロット法によりFアクチンの各臓器への集積とDNGR1受容体の発現、及び炎症誘導との相関性を評価する。(2)DAMPs (Fアクチン)の制御:クラッシュ症候群モデルに対して、抗Fアクチン抗体と抗DNGR1受容体抗体を投与し、DAMPs(Fアクチン)のリガンドとしての機能を制御することで、抗炎症効果、臓器損傷抑制効果、生存率改善効果が得られるかを評価する。(3)実際の筋細胞障害を伴う疾患(クラッシュ症候群を含む)におけるDAMPs(Fアクチン)の評価:血中Fアクチンを経時的に測定し、その重症度と予後との関係を調査することで、筋細胞障害を伴う疾患患者(クラッシュ症候群を含む)における重症度判定、予後予測などにおける有効性を評価する。 現在まで、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、以下を順次進める。(1)クラッシュ症候群モデルにおけるDAMPs(Fアクチン)の評価:確立したラットクラッシュ症候群モデルを用いて、クラッシュ損傷後の血中Fアクチンの動態を経時的、定量的に測定する。同時に、免疫染色法、In vivoイメージング、Real-time PCR法、ウエスタンブロット法においても、Fアクチンの全身臓器への集積とDNGR1受容体の発現、及び炎症応答との関連性を評価する。(2)DAMPs (Fアクチン)の制御:クラッシュ症候群モデルに対して、抗Fアクチン抗体と抗DNGR1受容体抗体を投与し、抗炎症効果、生存率改善効果が得られるかを評価する。(3)実際の筋細胞障害を伴う疾患(クラッシュ症候群を含む)におけるDAMPs(Fアクチン)の評価:血中Fアクチンを経時的に測定し、その炎症、凝固系、重症度、予後との関係を評価する。
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