2014 Fiscal Year Annual Research Report
亜硝酸塩の心筋虚血誘発性不整脈に対する急性期抑制効果の機序解明
Project/Area Number |
26861525
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
丸山 大介 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60609006)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 亜硝酸塩 / 虚血再灌流傷害 / 不整脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究方法】Wistarラットを用いて、生理食塩水(Control)、Nitrite(0.015, 0.15, 1.5 mg/kg)、Nitrite 0.15 mg/kgと共にcPTIOあるいはAllopurinolを腹腔内投与した。次に冠動脈左前下行枝(LAD)を30分間結紮することで心虚血モデルとし、不整脈の重症度を先行研究に従いスコア化(高いほど重症)し評価した。またNitriteの抗不整脈作用機序を明らかにするために、心筋Gap Junctionの主要蛋白であるコネキシン43(Cx43)に着目し、虚血傷害によるCx43脱リン酸化をウエスタンブロット法にて評価した。
【結果及び考察】Nitrite 0.15 mg/kg群の不整脈スコアは、Control群・Nitrite 0.015 mg/kg群およびNitrite 1.5 mg/kg群に比して有意に低下した。これらの結果から、Nitriteは虚血誘発性心室性不整脈を抑制することと、その効果-濃度関係は、他臓器に対する保護効果で示されているのと同様に、直線ではなくU-shape状の関係を示すことが明らかになった。さらにこの抗不整脈作用は、cPTIOおよびAllopurinolの投与によって棄却されたことから、XORを介してNitriteから還元されたNOによって発揮されていることが示唆される。またリン酸化Cx43はControl群に比して0.15 mg/kg Nitrite群で有意に保たれた。よってNitriteの抗不整脈作用は、虚血によるCx43の脱リン酸化すなわちGap Junctionの質的変化を抑制するという機序が考えられた。
【結論】Nitrite(0.15 mg/kg)はCx43蛋白の脱リン酸化を防ぎ、ラット虚血誘発性心室性不整脈を抑制する。その機序として、XORによって還元されたNOの作用が示唆された。
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