2015 Fiscal Year Annual Research Report
なぜ低親和性抗-ヒストンH1モノクローナル抗体が敗血症の治療効果を有するのか?
Project/Area Number |
26861531
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
島田 弥生 城西国際大学, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (70439024)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 敗血症 / 多反応性抗体 / 抗-DNA抗体 / 抗-ヒストンH1抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
低親和性抗-ヒストンH1モノクローナル抗体C93-3は、エンドトキシンショックからマウスを救命した。本研究ではその作用機序を解明し、敗血症治療薬を開発する上で必要な基礎的なデータを得ることを目的とした。 昨年度、C93-3の抗原としてα-actinin、nucleolin、hnRNP U、dsDNAおよびssDNAを同定した。この成果を踏まえ、本年度は主に以下の研究に取り組んだ。 Nucleolinはマクロファージの表面に存在し、リポ多糖(LPS)によるマクロファージの活性化に関与することが報告されている。C93-3がマクロファージ表面のnucleolinに結合することで、LPSによる活性化を抑制する可能性を考え、これを検証した。C93-3は細胞表面に存在するnucleolinを介してマウス腹腔マクロファージに結合する可能性が示唆されたものの、LPSによる活性化を抑制しなかった。 DNAはtoll-like receptorのリガンドとして働き、炎症反応を誘導することが報告されている。C93-3が細胞外DNAを捕捉することで炎症反応の誘導を抑制する可能性を考え、これを検証した。市販の抗-DNA抗体をエンドトキシンショックモデルマウスに投与して生存率を測定した。昨年度も同様の実験を行ったが、実験条件に問題があり、これを修正して再度実験を行った。その結果、抗-DNA抗体の投与は生存率の向上をもたらした。この結果から、C93-3の作用機序には細胞外DNAが関与する可能性が示唆された。DNAとヒストンタンパク質で構成されるヌクレオソームによる好中球の活性化をC93-3が抑制するか検証を試みた。しかし、既報のような細胞外ヌクレオソームによる好中球の活性化は認められず、C93-3の評価には至らなかった。 本研究は、細胞外DNAの捕捉が敗血症治療の有効な手段となる可能性を提示した。
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Research Products
(3 results)