2014 Fiscal Year Research-status Report
舌下免疫寛容に関わる樹状細胞/マクロファージサブセットの同定と作用機序
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26861542
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 志典 東北大学, 歯学研究科(研究院), 特別研究員(PD) (60637958)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 舌下免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
舌下免疫療法は、抗原(アレルゲン)を舌下粘膜から吸収させ、全身に免疫寛容を誘導し症状の改善を図る減感作療法であり、花粉症などのアレルギー疾患治療に有効である。一般に、花粉などの抗原に対する免疫寛容の成立には制御性 T 細胞 (Treg) の誘導が重要である。舌下免疫療法においても Treg の関与が示唆されているが、どのような抗原提示細胞が Treg 誘導を担っているかなどの詳細は不明である。本研究では、これまで十分に特徴付けされていなかった口腔粘膜抗原提示細胞の詳細な解析を行うことにより、舌下免疫寛容における Treg 誘導メカニズム解明を試みた。 まず、フローサイトメトリーによりマウス口腔粘膜抗原提示細胞の表面マーカーを詳細に解析し、粘膜上皮内に存在するランゲルハンス細胞と、粘膜固有層に存在する古典的樹状細胞およびマクロファージをそれぞれ同定した。形質細胞様樹状細胞は定常状態の口腔粘膜にはごくわずかであった。さらに、この分類の妥当性を増殖因子依存性や遺伝子発現解析により確認した。 次に、マウス舌下粘膜に蛍光色素標識タンパク抗原を投与し、抗原取り込み細胞をフローサイトメトリーにより解析した。その結果、抗原はまず粘膜固有層のマクロファージによって取り込まれ(1時間後)、その後、古典的樹状細胞によって所属リンパ節である顎下リンパ節へと運搬された(16時間後)。さらに、抗原舌下投与後に口腔粘膜から顎下リンパ節へと遊走した古典的樹状細胞は ex vivo で効率的に Treg を誘導した。 以上の結果から、舌下免疫寛容において、マクロファージが舌下抗原を取り込み、古典的樹状細胞へと受け渡し、古典的樹状細胞は抗原を顎下リンパ節へと運搬し、そこで抗原提示を行い Treg を分化誘導する、というメカニズムが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では舌下免疫寛容における Treg 誘導に関与する抗原提示細胞サブセットの同定を目的としていた。そして、口腔粘膜に存在するマクロファージと古典的樹状細胞が協調して Treg を誘導するメカニズムを明らかにした。従来行われていた組織学的手法では抗原提示細胞の詳細な解析は困難であり、多重染色フローサイトメトリーを駆使することでこのような研究が可能となった。当初の年次計画における2年目(次年度)の内容に踏み込んでおり、期待以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
舌下免疫寛容においては、顎下リンパ節における Treg 分化誘導に引き続き、Treg が増殖する過程が予想される。そこで、当初の研究計画通り、Treg 増殖に関与する抗原提示細胞サブセットの同定を目的として研究を推進する。さらに、口腔粘膜上皮内に存在するランゲルハンス細胞に関しては未だ特徴付けが不十分であるため、詳細な機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度は実験を優先したため、旅費の支出が0円となり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究成果を積極的に学会発表する予定であり、旅費としての支出が見込まれる。
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Research Products
(3 results)