2014 Fiscal Year Research-status Report
活性化ミクログリアの表現型スイッチ制御による歯周病に関連した認知症制圧法の開発
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26861555
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 亮 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70633105)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミクログリア / カテプシンB / ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰ / 歯周病 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、歯周病は微小な慢性炎症(マイクロインフラメーション)として特に中高年者において認知症のリスク因子となることが報告されている。研究代表者の所属していた研究室ではマイクロインフラメーションが中高年動物においてのみミクログリアを炎症性に活性化し、脳機能を低下させることを明らかにしてきた。活性化したミクログリアの機能は表現型スイッチと呼ばれる仕組みにより脳障害型(M1)と脳保護型(M2)に制御されているが、その実態については不明な点が多い。 平成26年度はミクログリアの表現型スイッチとして、炎症性サイトカイン産生に関わるリソソーム性プロテアーゼであるカテプシンBに着目して解析を行った。野生型マウス由来のミクログリア細胞株をLPSで刺激したところ、脳障害型(M1)マーカーの一つとして知られるiNOS遺伝子mRNA発現量が飛躍的に増加した。この際、カテプシンB遺伝子のmRNA発現量も同様に増大することが確認された。ところがLPSと同じくミクログリア表現型を脳障害性(M1)へと誘導すると考えられているインターフェロンγにて本細胞を刺激したところ、LPSの場合と異なりカテプシンB遺伝子mRNA発現量には大きな変化は見られなかった。以上の結果より、カテプシンBはある特定の遺伝子発現制御を受けており、LPSの受容体として知られるToll様受容体の様な自然免疫に関係する受容体の活性化に伴い発現誘導される可能性が見いだされた。一方でミクログリアの表現型を脳保護型(M2)へと誘導すると言われているIL-4で野生型ミクログリア由来細胞株を刺激したところ、脳保護型(M2)マーカーの一つとして知られているArginase遺伝子mRNAの発現量が大幅に増大するものの、カテプシンB遺伝子mRNA発現量には大きな変化がなかったことから、カテプシンBは主に脳障害型(M1)への表現型誘導時に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度はミクログリア表現型スイッチとして主にカテプシンBに着目して解析を行う予定であり、この点より該当年度の進捗状況としては進展したといえる。平成27年度にはカテプシンBに加え、ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰについても焦点を当て、解析を行う予定としていたが、該当年度中の予備的な解析がやや不足していた。この点より平成27年度はとくにミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰに関して重点を置き、解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度にはカテプシンBに加え、ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰについても焦点を当て、解析を行う。ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰ阻害剤であるロテノンの存在下で野生型マウス由来ミクログリア細胞株を培養し、脳障害型(M1)あるいは脳保護型(M2)のマーカー遺伝子mRNA発現量をリアルタイムPCRにて定量する。また、本阻害剤投与により遺伝子発現の変動するものをマイクロアレイあるいは二次元電気泳動と質量分析解析により網羅的に調査し、ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰに関連したミクログリア表現型変化制御機構の全体像を把握する。また、同様の網羅的な解析をカテプシンBについても行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたが、その金額は1674円と少額で平成26年度予算はほぼ予定通り使用したと考えている。次年度使用額は物品の値段変更の影響を大きく受けた結果、生じたものと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品の値段変更が続いていることから、再度必要物品の価格を見直し、より適正で計画的な運用に努める。
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Research Products
(2 results)