2016 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of periodontal disease-related cognitive impairment by controlling microglial phenotype change
Project/Area Number |
26861555
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡田 亮 産業医科大学, 医学部, 講師 (70633105)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ミクログリア / カテプシンB / ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰ / 歯周病 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度に構築した解析モデルを駆使しながら、歯周病罹患が脳に局在する細胞に及ぼす影響を明らかにすることを目的として検討を行った。 前年度の解析より、歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisと脳局在性細胞との共培養を行い、共培養により変動した遺伝子発現パターンをマイクロアレイで解析すると、CCL20等のケモカインやIL-1β、IL-6等の炎症性サイトカイン等、多くの炎症促進性因子をコードする遺伝子の発現が高まっていることがわかっていた。こうした炎症促進因子以外にも、MMP-9等の機能性分子の発現パターンが変化していた。以外にも生理的条件下で産生され、脳内の環境を適正なものに保つ作用のあるTGF-βの存在下で、以上のような機能性分子の発現が促されることを見出した。歯周病原性細菌が脳局在性細胞に与える影響を理解するには、単なる菌と宿主細胞の相互作用だけで説明できるものではなく、脳内の様々な種類の細胞間の相互作用も考慮することが重要となることが明らかとなった。 さらに、Porphyromonas gingivalisを生菌のまま、あるいは加熱処理により死滅させて脳局在性細胞との共培養に用いたところ、生菌でも死菌でも、炎症促進性因子やMMP-9等の機能性分子の発現が誘導された。ただ、生菌の方がこうした因子の遺伝子の発現量が高くなる傾向が観察された。したがって、脳局在性細胞では、歯周病原性細菌の構成因子のうち加熱処理により失活するものと失活しないものによって炎症促進因子の発現が誘導されていることになり、歯周病原性細菌の複数の構成因子が脳局在性細胞との相互作用に関与していることが示唆された。
|