2014 Fiscal Year Research-status Report
NF-κB,p65サブユニットとSmad4の会合部位におけるBMP誘導性骨形成
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26861556
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
杉山 悟郎 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00722828)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | BMPシグナル / NF-kBシグナル / SMAD4 / NF-kB |
Outline of Annual Research Achievements |
BMPはTGFβファミリーに属するサイトカインであり、強力に骨形成を誘導することから、骨形成促進剤としての臨床応用が期待されている。一方で炎症や細胞増殖、免疫などと密接に関わるNF-kBシグナルが骨形成を制御することも知られている。近年我々は、炎症に惹起されるNF-kBシグナルの活性化が、BMPシグナルにおけるSMAD4のMH1ドメインとNF-kBのメインサブユニットであるp65のTA2ドメインの相互作用を介して骨形成を抑制することを見出した。そこで今研究ではこのSMAD4とp65の会合について、分子レベルでの更なる詳細な解析を行うことにより、NF-kBの機能を完全に損なうことなくBMPシグナルの抑制を解除する新規化合物を開発することを目的としている。まず大腸菌発現システムを用いたリコンビナントタンパク質を調製することにより、SMAD4のMH1ドメインとp65のTA2ドメインの会合状態について検討した。その結果、両者は直接的な結合であることを明らかとした。またその結合領域はTA2ドメインの428番目のグルタミンから443番目のフェニルアラニンまでの16個のアミノ酸配列中に存在することも見出した。この領域のアミノ酸配列をヒト胎児由来腎細胞に過剰発現させると、p65によるBMPシグナルの活性抑制を解除した。だが一方でNF-kBの活性には影響を及ぼさなかった。以上のことから、SMAD4のMH1ドメインとNF-kBのp65サブユニットに存在するTA2ドメインの直接的な結合が両シグナルのクロストークに重要であり、そのうちの限られたアミノ酸配列を含むペプチドの存在によって、p65によるBMPシグナルの抑制を解除することができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今研究の目的はBMPシグナルとNF-kBシグナルのクロストークを標的とした新規化合物の開発である。そのために必要な結合領域の同定は16個のアミノ酸配列にまで絞り込むことができ、新規ペプチドの合成のためには十分な短さであると考える。またペプチドを想定した遺伝子導入実験においてもNF-kBの活性を抑制することなく、BMPシグナルの活性抑制を解除しており、ペプチド化合物においても同様な影響を与える可能性が十分にあると考えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はペプチドを合成し、SMAD4のMH1ドメインとNF-kBのp65サブユニット内にあるTA2ドメインの結合に対する影響、およびBMPシグナル活性やNF-kBシグナル活性への影響を検討する予定としている。時間的余裕があればマウス筋膜下へのBMP処理によって促進される骨形成への影響を検討する方針である。
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