2014 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺血流動態解析による2型糖尿病の唾液分泌障害機序の解明
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26861557
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
佐藤 寿哉 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (30709241)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 2型 / 唾液腺 / 血流 / 副交感神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は2型糖尿病に合併する唾液分泌障害が唾液腺に分布する副交感神経性の血管拡張神経の機能障害に起因するという仮説を検証して有効な治療方法を提示することを目的とし、本年度(平成26年度)は高血糖が唾液腺における副交感神経性の血流増加反応に与える影響について検討した。実験には、Wistar系雄性ラット(10-15週齢)を用いた。ラットはウレタンを用いて麻酔して筋弛緩剤で非動化した後、人工呼吸器を用いて管理した。体幹血圧は大腿動脈に挿入したカニューレを介して観血的に記録し、諸種の薬物は大腿静脈に挿入したカテーテルから投与した。唾液腺(顎下腺)の血流量はレーザースペックルイメージング血流計を用い継時的に測定・記録した。副交感神経性血流増加反応は三叉神経の求心性刺激(舌神経刺激)により、脳幹の諸核を介して反射性に副交感神経線維のみを活性化させる方法を用いた。本方法は従来の直接的な神経刺激法では困難であった副交感神経線維の単独作用を生理的条件下で観察することを可能とする本研究室において独自に開発・確立された方法である。 その結果、グルコースの静脈内投与による血糖値の上昇は1)ラット唾液腺(顎下腺)の安静時血流量に影響を与えない、2)唾液腺における副交感神経性の血流増加反応に影響を与えないことが明らかとなった。これは一過性の血中グルコースの増加自体に唾液腺の安静時血流や副交感神経神経性の血流増加反応を障害する作用はなく、持続的な高血糖による代謝異常が唾液分泌障害に重要であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糖尿病ラット(OLETOFラット)は4-6週齢が入手可能で糖尿病の発症まで30週程度の飼育時間を要するため個体数が十分に確保できていない。したがって、研究スケジュールにやや遅れが生じている。しかし糖尿病を発症する週齢に達するラットが順次供給される予定であるため平成27年度は個体数不足の問題は解消されると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究スケジュールにやや遅れがあるが当初の研究計画の通りに遂行する。研究遂行に支障をきたす重大な課題等は認められていない。平成27年度は糖尿病ラットの唾液腺における副交感神経性血流増加反応への影響に加え、糖尿病の既往が副交感神経性血流増加反応に与える影響について検討を行う。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りの使用額となったが僅かに次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画通り糖尿病ラットおよび各種試薬代、学会参加のための旅費として平成27年度分の助成金に組み込む。
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