2014 Fiscal Year Research-status Report
S. sanguinisによるインフラマゾーム活性化機構の解明
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26861566
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐伯 歩 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70638345)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口腔連鎖球菌 / インフラマゾーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、S. sanguinisがインフラマゾームを活性化しIL-1βの産生を誘導する分子機構ならびにその活性物質を明らかにし、本菌による感染性心内膜炎の病因論解明ならびに新規予防・治療法開発の一助とすることを目的とする。 S. sanguinisによるNLRP3インフラマゾーム活性化のメカニズムを検証するために、マウス樹状細胞 (XS-106細胞)に対するIL-1β産生誘導活性を各種阻害剤を用いて調べた。S. sanguinisにより誘導されるIL-1βの産生は、cytochalasin D(貪食阻害剤)、oATP(P2X と P2Y レセプターの阻害剤)、KN-62(P2X7 レセプター阻害剤)、apyrase(ATPおよびADP加水分解酵素)、glybenclamideならびにtolbutamide(ATP-sensitive K+ channel阻害剤)により抑制された。FITC標識したS. sanguinisを用いて、XS-106細胞による菌体の貪食をフローサイトメトリーにて観察した。また、菌体刺激時に細胞外ATP濃度は増加した。 これらのことより、S. sanguinisによるNLRP3インフラマゾーム活性化のメカニズムには、菌体の貪食、ATPの細胞外への放出、ATP-sensitive K+ channelによるカリウムイオンの細胞外流出が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、S. sanguinisによるNLRP3インフラマゾーム活性化のメカニズムには、菌体の貪食、ATPの細胞外への放出、ATP-sensitive K+ channelによるカリウムイオンの細胞外流出が関与している可能性が示唆され、学会発表を行った。今後、より詳細なメカニズムを明らかにしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.インフラマゾーム活性化のより詳細なメカニズムを解明する。 1)エンドソームから、菌体成分が細胞質に放出されるメカニズムを明らかにするため、XS-106細胞において、エンドソーム酸性化阻害剤(NH4Cl) 、プロテアソーム阻害剤(MG-132、 lactacystin)、リソソームプロテアーゼであるカテプシンBの阻害剤(CA-074)を用いて、IL-1βの産生を ELISA 法ならびにWestern Blot 法で調べる。また、ペプチドトランスポーター SLC15A を介して菌体成分が細胞質へ放出される可能性を検討するために、XS-106細胞においてsiRNA により SLC15A1, SLC15A2, SLC15A3 あるいは SLC15A4 をノックダウンし、IL-1βの産生を ELISA 法ならびにWestern Blot 法で調べる。 2)インフラマゾーム活性化におけるASK1の関与を明らかにするために、XS-106細胞においてsiRNAによるASK1のノックダウンを行い、IL-1βの産生をELISA法ならびにWestern Blot 法で調べる。 2.インフラマゾーム活性化物質の同定 菌体ならびに培養上清の活性物質をHPLC等で分離し、マススペクトル等で物質を同定する。 菌体からLP(トリトンX-114による二相分離法)(J. Immunol 165: 6538, 2000)、PGN、DNA、RNAを分離し、XS-106細胞によるIL-1βの産生誘導活性を調べる。S. sanguinisのLP欠失株を作製し、XS-106細胞によるIL-1βの産生誘導活性を調べる。
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Causes of Carryover |
初年度に設備備品として72万円の超純水製造装置を計上していたが、教室費で購入した。この一部は試薬等の消耗品費や旅費に使用したが、未使用額がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、次年度の試薬等の消耗品費に充てる。
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Research Products
(11 results)