2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期イメージングから紐解く放射線治療における腫瘍内微小環境の役割
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26861569
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
戒田 篤志 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40632097)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 細胞周期 / ライブセルイメージング / Fucci / 腫瘍内微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線治療後の固形腫瘍における細胞動態は細胞生存への影響、更には治療抵抗性メカニズムの解明において重要な情報といえる。これまでは技術的にも未熟であったため、固形腫瘍における時空間的情報を加味した解析が困難であったが、私たちは理研にて開発されたリアルタイム細胞周期イメージングシステムであるFluorescent Ubiquitination-based Cell Cycle Indicator(Fucci)をがん細胞に応用することにより、腫瘍構造を保持した状態において腫瘍内微小環境存在下における放射線照射後の細胞周期動態解析を試みた。その結果、腫瘍内微小環境が存在するマウス皮下腫瘍モデルにおいては放射線照射により生じるG2アレストが著明に持続し、単層培養系と比較するとその差は明らかであった。これまでの研究成果より、スフェロイドモデルにおいても放射線照射後のG2アレスト遷延が認められることから放射線照射後の細胞周期動態に対して腫瘍内微小環境が大きく関与している可能性が考えられる。このG2アレスト遷延現象の本質を紐解く上で私たちは皮下移植腫瘍を単離・接着させることによりG2アレスト持続時間を制御することに成功し、その結果、G2アレストが持続するほど細胞生存率が有意に上昇することが明らかになった。この知見は腫瘍内微小環境下におけるG2アレスト遷延現象が細胞生存、ひいては治療抵抗性に寄与していることを示唆しており、新たな増感戦略の構築において有用な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した通りの進捗状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線照射後の固形腫瘍において認められたG2アレスト遷延現象の規定因子について更に詳細な解析を行うことにより明らかにし、同規定因子が放射線照射後の細胞生存や再発、転移において果たす役割について検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)