2014 Fiscal Year Research-status Report
1H-MRSによる口腔・顎・顔面領域における鑑別診断と予後予測
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26861578
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
小田 昌史 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10638117)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MR spectroscopy |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は1H-MR spectroscopy (MRS)を用い、腫瘤性疾患に対する鑑別診断能の向上を図ることと病変の活動性や予後を予測することである。口腔・顎・顔面領域に関連する腫瘤性疾患の評価はCT、MRI、超音波検査及びPET検査の研究により、近年目覚ましい発展を遂げている。しかし、典型像を示さない病変の鑑別、活動性及び再発等の予後予測は極めて難しいことを経験する。そこで我々はこの度申請する研究を通し、口腔・顎・顔面領域に発生した腫瘤性疾患の鑑別や予後予測を行う際に、従来の画像検査にMRSを加え、総合判断することでその限界を打破できないかと考えている。MRSは中枢神経領域や前立腺、乳腺に応用する研究が盛んに行われているMRIによる成分分析の手法である。MRSによる病変の成分分析を加えることで、これまでとは異なった情報を得ることが可能となる。それにも関わらず、口腔・顎・顔面領域においてはその研究報告は極めて少なく、また診断への応用は困難とされているのが現状である。その理由には口腔・顎・顔面領域における磁場の不均一性、対象となる病変が大きくなければ十分なSNRを得ることが困難であるといった問題、周囲脂肪組織からのノイズが大きいといった問題等が挙げられる。しかし、申請者らによるMRSのシークエンスの改善により、臨床応用の可能性が開かれたと考える。我々が開発中のシークエンスを口腔・顎・顔面領域に応用することにより、正常構造物及び各種の腫瘤性疾患のスペクトルの解析を行う。その結果、これまでとは異なった視点から鑑別診断能の向上と予後予測が図れると考える。本研究は、口腔・顎・顔面領域に対するこれまでの画像診断学に加えMRSによる成分分析を応用し、鑑別診断及び予後予測の更なる向上を目指すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常者ボランティアの協力を得て、舌、唾液腺、咀嚼筋などそれぞれの撮像対象ごとに、コイルの選択や配置、積算回数やTEなど最適な撮像条件を検討した。特にボクセルサイズを縮小したことでMRSの適用範囲を広げることが可能となっている。また、体脂肪量の個人差や脂肪含量が多い組織については基線が安定しにくいこともあるため、60秒程度でin phase/out of phase画像も撮像し、脂肪含量まで基線が安定した波形が得られるのかを検討している。現在のところ、脂肪含量との関係を客観的に数値化あるいは統計学的に検討するには至っていないが、主観的には優位な相関性は存在し、検討を続けることで、適用範囲の拡大に寄与できると考えている。 疾患を有する患者による腫瘤性疾患のスペクトルの検討について、現在、ルーティンとしている撮像はT1強調画像、T2強調画像及び拡散強調画像である。これらの撮像にMRSを追加する形で行っている。MRSの撮像については当然ながら、予め同意を得ることができた患者のみを対象としている。MRSについては、観測されたCholineとCreatinの量や比、その他の物質のピークを中心に検討している。画像所見、臨床診断及び病理組織像を総合的に検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
MRSの適用をさらに広げるためのパラメータの検索は今後も常に平行して行っていく。患者データについては、観測されたCholineとCreatinの量や比、その他の物質のピークを数値化し、病理学的所見との関連性について検討する。また、正常構造物のスペクトルとの比較も行い、有意に上昇する成分のピークを検討する。これにより、ボクセルが病変内部に完全に含まれない症例においても、その上昇したピークから鑑別診断の一助とできるよう解析結果を検討する。鑑別診断についてはMRSのみではなく、その他の画像所見と併せて総合判断することで診断精度が向上するよう検討する。DCEMRIから作成したTime intensity curveや拡散強調画像から作成したADC mapやDiffusional kurtosis imagingをもとに得られた、腫瘤のADC値やkurtosisを検討項目の一つとする。これらのデータと臨床所見及び確定診断とを比較していく。
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Causes of Carryover |
メディア購入費、情報発信経費として誤差が生じた。概ね計画通りである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の通り、情報処理のためのソフト、デバイスの購入費の一部として使用予定である。また研究成果は、国内外の学会発表や専門誌への投稿を通して報告し、その成果を知らせる。そのための学会経費、論文投稿及び印刷費にあてる。
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[Journal Article] Can the neurovascular compression volume of the trigeminal nerve on MR cisternography predict the success of local anesthetic block after initial treatment by the carbamazepine?2014
Author(s)
Shiiba S, Tanaka T, Sakamoto E, Oda M, Kito S, Ono K, Wakasugi-Sato N, Matsumoto-Takeda S, Seta Y, Imamura Y, Nakanishi O, Inenaga K, Morimoto Y
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Journal Title
Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol.
Volume: 117
Pages: e15-21
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] New approach for functional evaluation of swallowing by visualizing saline flow using high-speed continuous MRI based on T2-weighted sequences.2014
Author(s)
Tanaka T, Oda M, Nishimura S, Kito S, Wakasugi-Sato N, Kodama M, Kokuryo S, Habu M, Miyamoto I, Yamashita Y, Aso A, Sadasue K, Nagashima R, Tominaga K, Yoshioka I, Morimoto Y
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Journal Title
Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol.
Volume: 118
Pages: 490-496
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Identification and adjustment of experimental occlusal interference using functional magnetic resonance imaging.2014
Author(s)
Oda M, Yoshino K, Tanaka T, Shiiba S, Makihara E, Miyamoto I, Nogami S, Kito S, Wakasugi-Sato N, Matsumoto-Takeda S, Nishimura S, Murakami K, Koga M, Kawagishi S, Yoshioka I, Masumi S, Kimura M, Morimoto Y
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Journal Title
BMC Oral Health.
Volume: 14
Pages: 124
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Diagnosis and prognostic evaluation for xerostomia using dynamic MR sialography.2014
Author(s)
Oda M, Tanaka T, Habu M, Ono K, Kodama M, Kokuryo S, Yamamoto N, Kito S, Wakasugi-Sato N, Matsumoto-Takeda S, Nishimura S, Murakami K, Koga M, Kaneuji T, Yoshiga D, Miyamoto I, Yamashita Y, Seta Y, Awano S, Yoshioka I, Matsuo K, Tominaga K, Ansai T, Inenaga K, Morimoto Y
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Journal Title
Curr Med Imaging Rev.
Volume: 10
Pages: 84-94
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 口蓋扁桃結石の頻度とその特徴2014
Author(s)
小田昌史, 田中達朗, 鬼頭慎司, 志岐一欣, 若杉(佐藤)奈緒, 松本(武田)忍, 大塚(岩脇)梢, 西村 瞬, 森本泰宏
Organizer
第24回日本口腔内科学会・第27回日本口腔診断学会
Place of Presentation
九州大学医学部百年講堂
Year and Date
2014-09-18 – 2014-09-19
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[Presentation] 口蓋扁桃結石の頻度とその特徴2014
Author(s)
小田昌史, 田中達朗, 鬼頭慎司, 志岐一欣, 若杉(佐藤)奈緒, 松本(武田)忍, 大塚(岩脇)梢, 西村 瞬, 森本泰宏
Organizer
日本歯科放射線学会 第55回総会・学術大会
Place of Presentation
タワーホール船堀
Year and Date
2014-06-06 – 2014-06-08
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