2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永安 慎太郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (60635192)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯髄細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでの当研究室の研究を発展させ、ヒト歯髄細胞、ヒト歯肉線維芽細胞、ヒト歯根膜線維芽細胞の培養上清をマクロファージに添加し、歯髄細胞の上清を添加したときのみマクロファージからTNF-αの産生誘導が生じることを確認した。また、歯髄細胞培養上清をタンパク質分解酵素で処理後にマクロファージ上清に添加すると、そのTNF-α産生性は非処理群と比較して有意に低下するものの、その減少は50%程度に留まり、マクロファージが歯髄細胞からの液性因子に未だ反応することを明らかにしている。更に作用因子を同定する為回収した歯髄細胞の上清の凍結、解凍を繰り返し行いマクロファージに作用させた場合においてもTNF-α産生はタンパク質分解酵素で処理後と同様の結果を示した。以上からTNF-α産生誘導分子はタンパク質のみではなく、核酸や脂質などの歯髄細胞分泌因子もマクロファージに作用し、TNF-α産生誘導に寄与している可能性が示唆された。培養上清からのDNAの回収は、溶液からの DNA 抽出用にデザインされた磁気ビーズを回収した培養上清と混合させ、培養上清中に微量に存在する DNA を分離することで行い、それぞれ無血清標準培地に混合し、マクロファージをこの培地で24時間培養した。マクロファージからのTNF-α産生誘導は認められたが、反応は微弱であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者のH26年度の予定は、①培養上清中に微量に存在するDNAを分離・濃縮し、抽出したmRNA及びDNAをそれぞれ無血清標準培地に混合後、マクロファージをこの培地で24時間培養、形態変化を観察、記録すると共に24時間後の上清を回収し歯髄細胞培養上清から得られた mRNAまたはDNAにTNF-α産生能があるかを検討する事、②mRNAまたはDNAにマクロファージにおけるTNF-α産生能が認められた場合には、その責任配列を同定し目的RNAを大量に精製する事であった。DNAを抽出しマクロファージに添加した後のTNF-α産生誘導が微弱であり安定した結果が得られないため責任配列を同定できていない。現在、培養上清を大量に産生し濃縮する作業を行っているがその作業に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず歯髄培養上清を大量に産生し濃縮する。その溶液から DNA抽出用にデザインされた磁気ビーズを回収した培養上清と混合させDNAを分離する。抽出した mRNA 及びDNAをそれぞれ無血清標準培地に混合し、マクロファージをこの培地で24時間培養する。上清を回収し、上清内のTNF-α量をELISAにて検討し、歯髄細胞培養上清から得られた mRNAまたは DNA に TNF-α産生能があるかを検討する。mRNAまたはDNAにマクロファージにおけるTNF-α産生能が認められた場合には、その責任配列を同定する。候補となった核酸と先行研究で同定したタンパク質をそれぞれマクロファージの培養上清に添加し、マクロファージからのTNF-α産生の違いを比較検討する。さらに同定核酸のマクロファージにおけるパスウェイ解析を行い、特に同定核酸がmRNAであった場合、同定したmRNAまたはDNAをcy3またはcy5で標識し、マクロファージ上清中に添加し、経時的にその細胞内への取り込みを解析することで、その受容体が細胞膜上、細胞質内、核内かを併せて検討する。臨床応用を想定したin vivo研究ではラットの第一臼歯を露髄させ、同定核酸を髄腔内に投与した後に、経時的に炎症状態や患部周囲でのTNF-α産生量を検討する。
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Causes of Carryover |
H26年度は候補分子の同定を行う予定であった。培養上清中に微量に存在する DNA を分離し無血清標準培地に混合後にマクロファージをこの培地で24時間培養したが、マクロファージからのTNF-α産生誘導は認められたものの、反応は微弱であった。今後、歯髄細胞を培養した上清を大量に回収し濃縮後同様の実験を行う予定であるが当初の予定と比較して研究が遅れているため、予定していた物品購入をしなかったことが差額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
歯髄細胞を培養した上清を大量に回収し濃縮後にDNAを回収する。遅れた実験を順次進めていく上で該当助成金を使用し物品購入を行う。その後はH27年度の助成金使用計画に沿ったものとする。
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