2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26861600
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中島 和慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (40707246)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 象牙芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、初年度に生後1日目のマウス歯牙より細胞膜に存在するTie2を標的分子として象牙芽細胞マーカーであるDSPPの発現量が高い細胞集団の単離に成功した。しかし一方で、この細胞集団を培養すると培養前後で形質が変化し、DSPPの発現は有意に減少することが分かった。そこで申請者は、今回使用した抗体で単離した細胞の多くは特殊な培養条件を検討する必要があると考え、別の分子を標的とすることでより培養に適した細胞集団を単離することができないかと考えた。 まず、別の標的分子を模索するにあたり初年度に単離した細胞集団において遺伝子の網羅的解析を行った。その結果、特にintegrin αv (CD51)の発現が特に高いことが分かった。CD51はfibronectinなどの細胞外マトリクスのレセプターとして働くことが知られており、象牙芽細胞でも接着分子として機能することが報告されている。申請者は、磁気ビーズ付きCD51抗体を使用して歯髄組織をCD51(+)、CD51(-)に分離し、得られた二つの細胞集団についてreal-time PCRを行い象牙芽細胞関連遺伝子の発現量を検索した。その結果、予想に反してCD51(+)細胞集団はCD51(-)細胞集団に比べOsteocalcin、Nestin、Dmp1などの発現量が有意に少ないことが明らかとなった。すなわち、本研究で使用したCD51抗体は象牙芽細胞に存在するCD51抗原を認識できていない可能性があり、CD51(-)分画に象牙芽細胞が含まれていると考えられた。 初年度ならびに今年度の結果を鑑みると、象牙芽細胞はその細胞突起を硬組織内に伸張するという特徴的な形態ゆえに、歯冠から歯髄組織を機械的に分離する時点で象牙芽細胞細胞膜の損傷が起こり、その結果抗体が認識するエピトープの構造が変化したことが予想に反した結果となった原因ではないかと考えられた。
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