2014 Fiscal Year Research-status Report
全身疾患をもたらすStreptococcus mutans 新規病原性因子の同定
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26861601
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤島 慶 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50553153)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 菌体表層タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科領域において、Streptococcus mutansはう蝕形成の原因菌として周知されている。一方で全身への影響として菌血症や心内膜炎等の原因菌としても知られている。近年、口腔内感染症と動脈硬化症、糖尿病、高血圧症などの全身疾患との関連性が報告され高い注目を集めている。そこで本研究は、う蝕原生菌であるStreptococcus mutansの全身疾患をひきおこすメカニズムの解明という観点から解析が行われている。 当該年度において、全身疾患をひきおこす際の重要な病原性因子の一つである細胞への付着能について解析を行った。Streptococcus mutansの細胞への付着能に関して、菌体内で生成されたタンパクを菌体表層へ局在化させるSortaseに着目した。まず最初に、Sortaseの発現を制御するsrtAの遺伝子欠損株を作成し、HeLa細胞に対する付着能検証を行ったところ、指標菌であるUA159野性株よりも有意な付着能の低下を認めた。これにより、菌体表層に発現するタンパクがHeLa細胞への付着に関して関与することが示唆された。また、Sortase依存性の菌体内タンパクとして、FruA、SpaP、WapA、WapE、GbpC、DexAの6つが存在し、現在、これらのタンパクを発現する遺伝子欠損株の作成まで終えている。 今後、これらの遺伝子欠損株を用い、HeLa細胞に対する付着能検証および本菌の実際の全身への波及経路を想定し、血管内皮細胞など様々な組織の細胞に対する付着能検証を行い、全身疾患をひきおこすメカニズムの解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、う蝕原生菌であるStreptococcus mutansが全身疾患をひきおこす機序の解明である。 当該年度では、全身疾患をひきおこす病原性因子の一つである、様々な組織の細胞に対する付着能について解析を行っている。細胞付着に関係する因子として菌体表層タンパクに着目し、現在、菌体表層タンパクの細胞付着への関与を示し、菌体表層タンパクに関係する因子の抽出およびそれらを制御する遺伝子の欠損変異株の作成など順調に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
Streptococcus mutansの全身疾患をひきおこす病原性因子として、細胞への付着に関係する菌体表層タンパクに着目し、菌体表層タンパクに関係する因子の抽出およびそれらを制御する遺伝子の欠損変異株の作成を終えている。 今後は、抽出した因子のなかで、細胞付着に関係するkey factorを同定し、Streptococcus mutansの病原性因子の一つである細胞付着の機序について明らかにしていく予定である。また同時に病原性因子発現株の作成および病原性因子発現株を用いた動物実験を行い、in vivoにおける新規病原性因子の同定を目指す。
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