2014 Fiscal Year Research-status Report
自己硬化性リン酸カルシウム製剤および新規フッ化物含有コート材の知覚過敏抑制効果
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26861607
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川本 諒 日本大学, 歯学部, 助教 (40608410)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 象牙質知覚過敏症 / 超音波 / 再石灰化 / リン酸カルシウム / フルオロアルミノカルシウムシリケート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,生体親和性に優れた自己硬化性リン酸カルシウム製剤およびフルオロアルミノカルシウムシリケート含有知覚過敏抑制材について,非破壊的かつ経時的に物質の状態変化を測定可能である超音波パルス法を用いて定量化するとともに,レーザー顕微鏡による非破壊的な表面性状の観察および走査電子顕微鏡による割断面の観察あるいは元素組成分析を行うことで,これらが有する再石灰化能あるいは象牙質透過性について検討し,知覚過敏抑制効果を評価することである。 今年度の実験では,自己硬化性リン酸カルシウム製剤の知覚過敏抑制効果を検討した。すなわち,象牙質知覚過敏モデルを作製し,リン酸カルシウム製剤を塗布した後に口腔内環境をシミュレートしたpHサイクルに曝すことで知覚過敏抑制効果を評価した。28日間のpHサイクルに先立って,試片に対してリン酸カルシウム製剤を1度のみ塗布した場合と,7日毎に反復塗布した場合では,塗布せずにpHサイクルに浸漬した場合と比較して超音波縦波音速が上昇した。また,レーザー顕微鏡観察からは象牙細管の大部分が封鎖され,走査電子顕微鏡観察では象牙質の深部にまでリン酸カルシウム製剤あるいは析出物が観察された。歯質表層の元素組成分析においては,塗布前がCa/P=1.84であったのに対し,反復塗布したもので1.86と同等のCa/P比であり,歯質の構成成分に変化は見られなかった。 これらのことから,自己硬化性リン酸カルシウム製剤は知覚過敏抑制効果が期待でき,また生体親和性に優れることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,自己硬化性リン酸カルシウム製剤およびフルオロアルミノカルシウムの象牙質知覚過敏抑制効果を比較検討するため,自己硬化性リン酸カルシウム製剤を塗布した際の超音波伝播時間の変化や表面性状の観察,象牙質透過性の評価ならびに元素組成分析を行った。当初の計画では,評価項目として各知覚過敏抑制材の超音波測定と表面性状の観察までを行う予定であったが,自己硬化性リン酸カルシウム製剤を用いた際のすべての評価項目を先行して行った。計画とは進行順序が異なるものの,自己硬化性リン酸カルシウム製剤を塗布した際のデータの収集はすべて終了しており,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
自己硬化性リン酸カルシウム製剤を塗布した際と同様に,フルオロアルミノカルシウムシリケート含有歯面コート材を塗布した際の超音波伝播時間の測定,表面性状の観察,象牙質透過性ならびに元素組成分析を行い,フルオロアルミノカルシウムシリケート含有歯面コート材の象牙質知覚過敏抑制効果を評価する。これをもとに自己硬化性リン酸カルシウム製剤とフルオロアルミノカルシウムシリケート含有歯面コート材の知覚過敏抑制効果について相互補完的に比較・検討する。
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