2015 Fiscal Year Research-status Report
漂白と効率的再石灰化を誘導する歯質改質システムの創製
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26861610
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
飯塚 純子 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00706484)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エナメル質表層下脱灰病巣 / 漂白 / 再石灰化 / 唾液タンパク質 / TMR / RAMAN / オフィスブリーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、ヒト全唾液に浸漬した人工表層下脱灰病巣を漂白材に作用させ、抽出した唾液タンパク質をWestern Blotting解析した。結果、漂白材による有機質の分解ならびに再石灰化誘導への有用性が示唆された。また同様のエナメル質試料に漂白材を作用させ、唾液タンパク質の侵入深度ならびに漂白材の効果を顕微RAMAN分光光度計による分析・評価を行った。結果、有機質の成分は病巣の深部まで侵入していること、漂白材はエナメル質表層下脱灰病巣の無機質に影響を与えることなく、侵入した唾液由来の有機成分を減少させることが明らかになった。 これらを踏まえ、本年度は、同様にヒト全唾液に浸漬した人工エナメル質表層下脱灰病巣を再石灰化溶液に浸漬する群と、漂白材を作用させてから再石灰化溶液に浸漬させる群とを作製し、再石灰化量の検討を行った。評価にはTransverse Microradiographyを用いた。結果、再石灰化率(回復率)を比較すると、漂白をせずに再石灰化を行った群では、約43%にとどまったのに対し、漂白後再石灰化を行った群では約72%であった。故に、唾液由来の有機質が侵入した表層下脱灰病巣に、漂白材を適用することにより、再石灰化率の向上が示唆されたといえる。 さらに象牙質に対する漂白材の作用の検討と評価を行うと同時に、有色の表層下脱灰病巣モデルの開発も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画通り、下記に示す結果を得ることができた。 ・ヒト全唾液に浸漬した人工エナメル質表層下脱灰病巣を再石灰化溶液に浸漬する群と、漂白材を作用させてから再石灰化溶液に浸漬させる群とを作製し、再石灰化量の検討を行った。評価にはTransverse Microradiographyを用いた。結果、再石灰化率(回復率)を比較すると、未処理で再石灰化を行った群では、約43%にとどまったのに対し、漂白を施した後再石灰化を行った群では約72%であった。故に、唾液由来の有機質が侵入した表層下脱灰病巣に,漂白材を適用することにより,再石灰化率の向上が示唆されることを明らかにした。 よって、「おおむね順調に進展している」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた結果をもとに、本応募課題である歯質改質システムの開発を目的とする再石灰化の質と促進について検討していく。また、本年度は有色表層下脱灰病巣での評価や再石灰化促進における病巣内での唾液タンパク質と漂白材とのメカニズムついても検証していきたいと考える。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会での発表を、世界情勢(治安)の問題で控えたため、その分の旅費が繰り越された。また、昨年度の消耗品を使用できたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は可能であれば学外の機器を用いての分析も検討してみたいと考えている。よって、分析費に用いる。 また、更なる本課題の発展研究を動かすための消耗品の購入も検討している。
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Remarks |
飯塚純子:優秀奨励論文賞:エナメル質表層下脱灰病巣における唾液由来有機質のラマン分析とブリーチングによる変化 -審美的な再石灰化療法の開発を目指して-.日本歯科審美学会.2015.11.22.
飯塚純子:研究努力賞:神奈川歯科大学学会.2015.12.5.
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