2014 Fiscal Year Research-status Report
交感神経活動の変動は日中の低レベル咀嚼筋活動習癖に影響を及ぼすか
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26861618
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三上 紗季 北海道大学, 大学病院, 医員 (70704477)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 咬筋筋電図 / 交感神経活動 / 心電図 / ブラキシズム / 顎関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,データロガー超小型生体信号測定システムを用い,終日咬筋活動および交感神経活動を解析し,クレンチングなどの日常生活における日中ブラキシズムに交感神経活動の変化が影響を及ぼすか否かを明らかにすることである.H26年度では,咀嚼筋筋電図-交感神経活動測定システムの確立と,予備的データ収集を行った。 1.咀嚼筋筋電図-交感神経活動測定システムの確立:咀嚼筋筋電図の測定には超小型筋電計ロガーFLA500SD,交感神経活動の測定には、新規開発した超小型心電計ロガーを使用した。筋電図波形は日中覚醒時,夜間睡眠時を通しての測定,波形認識が可能であり,最近注目を集めている日中の微弱な低レベルの筋活動も認識可能であった.心電図波形も同様に,日中夜間を通して測定が可能であり,解析ソフトHRVモジュールを用いて,R-R間隔の認識,交感神経活動の指標とされるLF/HF値の算出が可能であった.筋電計,心電計は同様のシステムを用いているため,同時に測定開始することにより,両データを同期化した. 2.心理社会的因子に関する調査項目の検討:従来用いられている質問表の中で,被験者の時間的負担等も考慮し,緊張・抑うつ・怒り・活気・疲労・混乱の因子が測定できるPOMSを使用することとした. 3.データの収集:予備的データ収集として,顎関節症患者,睡眠時ブラキシズム患者の計測を行った.筋活動は自動解析ソフトにて波形処理,バーストの抽出をした.低レベルの筋活動も含めるため安静時の基線レベルの2倍以上,もしくは最大咬みしめに対する比率(%MVC)で閾値の設定をし,バースト数,バースト持続時間,最大振幅,積分値等を算出した.交感神経活動は,夜間睡眠時と日中覚醒時の比較のみでなく,筋活動発現時と対応する任意の解析区間のLF/HF値の算出が可能であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
咀嚼筋筋電図、交感神経活動測定システムの確立に関しては,順調に行えたが,予備的データ収集において,対象は睡眠時ブラキシズム患者に偏り,健常者,顎関節症患者のデータ数が少ない状態で,ばらつきがあった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.データ収集 H27年度は本格的なデータ収集を行う.最終的に健常者20名,健常者,疼痛,開口障害を有する顎関節症患者20名,睡眠時ブラキシズム患者20名を目標とする. 2.データ解析 得られたデータから,咬筋活動波形発現と交感神経活動亢進の時間的関係,咬筋活動波形発現頻度と交感神経活動特性の関係,測定データと臨床所見,心理社会的因子との関係についての解析を行う. 3.研究の総括 得られた結果から,日中日常生活下における交感神経活動と咀嚼筋活動の関連性について検討し,交感神経活動の変動は日中の低レベル咀嚼筋活動習癖に影響を及ぼすか否かを考察する.
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Causes of Carryover |
購入した超小型筋電計ロガー,超小型心電計ロガーは,購入計画時は,付属品(ソフトウェア等)を含めた一式での見積もりであったが,本体のみの購入が可能であったため、予定の金額よりも少なくなった.また,人件費や消耗品の購入費の使用が計画よりも少なかったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の本格的な筋電図,心電図データ解析時のソフトウェアの動作環境をととのえるため、筋電図、心電図解析用のPCを購入する.また,H26年度に購入が少なかったデータ測定時に必要な消耗品の購入が必要である.
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