2015 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞技術に骨再生促進化合物を応用した垂直的・広範囲の歯槽骨増生技術の開発
Project/Area Number |
26861634
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萱島 浩輝 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50632121)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオロジー / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
補綴・インプラント治療において,広範囲かつ垂直的な骨欠損部位に対して,安全かつ確実に欠損骨を再生する「垂直的骨増生技術」が求められている。申請者は,個々の患者から作製可能なiPS細胞が,歯槽骨の再生医療に有用である可能性に着目した。本研究の目的は,ケミカルバイオロジーおよびスキャフォールドフリーのアプローチによって,数千種類もの生理活性化合物の中からiPS細胞の骨形成を強力に促す分子を同定し,さらには,補綴歯科治療において切望される垂直的な歯槽骨再生医療技術として臨床応用へと展開するための研究基盤を確立することにある。 これまでの研究成果により,同定した骨芽細胞の分化を促進する小分子化合物を用いて,マウス間葉系幹細胞およびiPS細胞の骨芽細胞分化に及ぼす影響を検討した結果,同定した小分子化合物は,ハイドロキシアパタイトの結晶構造を有する成熟した骨芽細胞まで分化誘導可能であることが明らかとなった。さらに,iPS細胞を移植する際に必要となる三次元培養法の検討を行うため,pNIPAAmゲルを用いたiPS細胞凝集体を作製し,骨芽細胞へ分化誘導を行った結果,骨組織に特異的なリン酸カルシウムの存在を認めた。以上の結果より,骨芽細胞分化促進作用を有する小分子化合物および細胞のみで構成される三次元的な集合体を移植材とする技術に,iPS細胞技術を応用することは,垂直的かつ広範囲の骨組織再生に適した新技術である可能性が示唆された。
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