2014 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーによるインプラント周囲細菌叢の網羅的解析と個別化抗菌療法開発
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26861637
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大野 彩(木村彩) 岡山大学, 大学病院, 助教 (20584626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔インプラント / 歯学 / 次世代シークエンサー / 臨床疫学 / 細菌叢 / メタゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,倫理委員会に研究計画書を提出し承認を得たうえで,当科のインプラント患者リコールプロトコールおよびインプラント患者リストから,インプラント周囲炎患者の抽出を行った.インプラント周囲炎患者の選択基準は,インプラント体周囲のポケットデプスが4mm以上で周囲歯肉に腫脹・発赤が認められること,患者自身が違和感や痛みを訴えていること,周囲歯肉の出血または排膿を認めること,規格化デンタルX線写真でインプラント体の3スレッド以上の骨吸収を認めることとした. そして,これらの選択基準を満たし,口腔内に健全インプラント体,インプラント周囲炎罹患インプラント体,健全歯および歯周病罹患歯を有する者を対象としてサンプリングを行った.その結果,合計5名を研究実施対象者として得た.対象者には,あらかじめ決めていた臨床診査プロトコルに従い臨床診査データを収集した.対象者5名の診査時平均年齢は71.0歳で,性別は男性2名,女性3名であった.口腔内の平均インプラント体埋入本数は4.8本であり,インプラント周囲炎と診断されたインプラント体本数は1.4本であった.また,インプラント周囲炎と診断されたインプラント体はすべて臼歯部に埋入されており,インプラント体周囲の最深ポケット値は8mm(平均5.6mm)であった. さらに,対象者のインプラント周囲炎罹患インプラント体,健全インプラント体,健全歯および歯周病罹患歯それぞれの周囲ポケットからペーパーポイントを用いて歯肉溝浸出液を採取した.また,インプラント周囲炎によって臨床的に不良肉芽組織の掻把が必要となった際には,除去した組織を採取した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,研究計画の倫理委員会承認を得ること,インプラント周囲炎患者を抽出し,臨床診査を行うこと,浸出液等を採取し,次世代シークエンサーで解析を開始することを予定していた. このうち,インプラント周囲炎患者5名を抽出し,臨床診査および浸出液や組織の採取は達成できている.次世代シークエンサーでの解析がまだ実施できていないが,解析前のPCR条件確認等の準備を進めており,概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,さらに対象数を増やし,臨床診査データと歯肉溝浸出液サンプルを増やす必要がある.そのため,インプラント周囲に炎症が起きた患者のリコールシステムを継続して実施する.さらに,歯肉溝浸出液や不良肉芽組織を継時的に採取し,得られた臨床検体はマイクロアレイ法や次世代シークエンサーを用いて解析予定である.そして,得られた生物学的リスクマーカー候補因子に細菌叢および臨床データを加えて多変量解析,クラスター解析を行い,インプラント周囲炎進行のハイリスク患者を同定すること,それらの患者への感染源除去療法前後の細菌叢解析を実施する予定である.同一患者で,臨床症状の変化と歯肉溝浸出液の細菌叢の変動を見る予定であるため,平成26年度にサンプリングした5名の追跡を確実に実施する.
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Research Products
(2 results)