2014 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞ニッチという観点から見た歯槽骨創傷治癒メカニズムの解明
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26861639
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大野 充昭 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60613156)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 骨再生 / 抜歯窩 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請書は,抜歯窩の創傷治癒をモデルに,骨再生における分子細胞生物学的幹細胞誘導メカニズムを明らかにする事を目的に計画した. 平成26年度は,ビーグルイヌの小臼歯を抜歯し,抜歯3日,10日目に抜歯窩から肉芽組織を採取し,組織の細片化と酵素処理によって単一細胞を得て,コロニー形成能を指標に幹細胞を分離した.その結果,抜歯3日目の肉芽組織から十分な細胞増殖能を有した細胞が分離可能であったが,抜歯10日目の肉芽組織からは分離できなかった.次に,抜歯3日目の抜歯窩肉芽組織から分離した細胞を用い,それらの多分化能の検討した.実際には,骨芽細胞,脂肪細胞,軟骨細胞分化誘導培地にて培養した.その結果,骨髄由来間葉系幹細胞と同程度の分化能を有していることが確認できた.また,フローサイトメトリーを用い,CD34, CD45, CD14, CD44, CD90, CD271の幹細胞表面マーカーの発現について, 骨髄由来間葉系幹細胞と比較検討した.その結果,抜歯窩由来間葉系細胞,骨髄由来間葉系幹細胞共に,CD34, CD45陰性,CD14, CD44, CD90, CD271陽性であり,両者に大きな差は認めなかった.また,興味深い事に,抜歯窩由来間葉系細胞は,骨髄由来間葉系幹細胞と比較し,コロニー形成能,細胞遊走能,細胞増殖能は有意に高かった. さらに,抜歯窩由来間葉系細胞をイヌの歯周病モデルに移植し,歯周組織形成能をin vivoにて検討した.現在切片を作製し,解析の準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は既に大型動物を用いた実験系を実施しており,実際,既に細胞の単離,培養,フェノタイプの確認まで終了している.また,すでにイヌにおいて,移植モデルも実施している.然し,マウスのコンストラクト作製に少し時間を要しており,本件は来年度の課題である.そのため,研究全体としては,概ね順調に研究が進んでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,マウスモデルを構築し,幹細胞のトレッキングを実施する予定である.そのためにはPLAP-1 Cre- ERマウスのDNAコンストラクトを完成させなければならない.本件に関しては,共同研究先のNIHのMarian Young先生と綿密な計画を立て直し,実施する予定にしている. イヌ歯周病モデルはすでに構築しており,平成26年度に引き続き実施していく予定である.実際には移植8週後に,骨形態学的(micro-CT),組織学的(HE染色,in situ hybridization法:ペリオスチン,オステオカルシン)に評価する.また,整形外科領域での応用も考え,膝関節骨軟骨欠損モデルも作製し検討する予定にしている.
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